「スマイルプロジェクト終了です」


いやまあそりゃあわかってたし覚悟もありましたけどいきなり言われたらびっくりするしもう友達なんだけどそんな感じで、

そんな事をぐるぐる考えていたら左手の人差し指に針がぶっすりと深く刺さった。


「……いったぁあああ…!!」
「…う、おおおおお!?なにしてんの抜いて抜いて!!」
「ひ、ぐぅー…!」


ジリジリと優しく抜いても小さく空いた穴からは血が溢れる。思っていたより血がでてきて咄嗟に服やテーブルクロスから距離をとった。


「ちょ、雫ちゃ、」
「だ、だめだめきちゃだめ血がつく!」


ずざざと距離をとって右手をぶんぶんとふる。飲食店の制服に他人の血なんてゴキブリよりたちが悪いじゃないか!!
色んな事が起きてまた頭がぐるぐるしはじめた瞬間左手を掴まれて人差し指にタオルを押し付けられる。オレンジ色のタオルに一点が赤く染まり範囲を広げていた。


「そんな事いってる場合じゃないでしょーが!!」
「わああああああ!!高尾君それ自分のタオルじゃん高尾君のばかあああああああ!!!!」
「針ぶっ指した人にいわれたくありませーん!」
「…だって」


寂しいじゃないか、もう仲良くなって友達で、ノートなんて繋がりがなくても全然大丈夫だけど、それでも、


「寂しい」


このノートに私の戦いがあって夢があって愛しさがある。せめて高尾君のコメントだけでもコピーしたい。なんちゃって。だめだまたがらにもなく泣きそうじゃないか。


「寂しいよ、ちょっと」
「俺は寂しくない」
「…鬼」
「だってノートは喋らないもん」
「それでも寂しい」
「知ってる。でももうノートはいらない」


傷口にタオルをあてながら片方の手でノートを渡される。片手だけじゃあ開けずらいのに一体何事だ。


「最後の課題です」
「……うん」


最後、っていうぐらいなんだから、フラグぐらい立てておこう、私、このノートが終わったら、


「感想を適当に書いてきて」


高尾君に告白するんだ。なんちゃって、いや、まぁ、本当だけど



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