「死ぬ」


両手で顔を覆ったまま教卓の中で三角座りをする雫に溜め息を吐いた。


「おーい、大丈夫かー」
「大丈夫じゃない、死ぬ、高尾君自分がかっこいいからって調子のってる、恥ずかしい死ぬ」
「お前らバカップルは死ぬ運命しか辿らないのか」


耳どころか首すらも赤い雫に溜め息を吐く。今日何度目の溜め息か数えきれていない。


「ほらでてきなさい、作業するよ」
「高尾君がいないなら出る」
「いや同じクラスだから」
「無理、高尾君は無理」


というか雫がでないと色々困る。美亜とかっずーの戦争が大きくならないうちにでてきてほしい。
本人達は静かな殴り合いをしてるつもりだろうがオーラは皆を巻き込んでる。「三好さん怖ぇ」「三好さんぱねぇ」の声が止まらない。


「ほら、かっずーだって自重するって」
「………」
「かっずーも悪いと思ってるよなー」
「いや雫ちゃんが可愛いのが悪い」
「ほら反省してるって」
「いや普通にまた恥ずかしい事言われた!」


相変わらず首は横にしかふらないし、この戦いどうすればと頭を抱えて唸っていたらぽんぽんを肩を叩かれる。


「島田」
「まあ見てろって、あ、雫ちゃん、高尾が笑ってるよー」
「うおっ!?」


笑顔の話題を出した瞬間教卓…つまり雫が盛大に揺れた。凄い反応だ。
いや、流石に雫が笑顔厨といっても無理がある。これに釣られるなんてただの頭弱い子だ。


「三好さんも笑ってるーすっごいきれーあの二人の笑顔なんてそうそうみれないよねー」
「………」
「すげー素敵だなー」
「茶番で…」
「…どんな感じに笑ってる?」


釣れたああああああああああ!?ちょろい!!ちょろすぎる!!お菓子のかわりに笑顔だしたら不審者についていくレベルだよこれ!!!!


「高尾に手振ってみ」


島田がにやにやと意地悪い笑顔を浮かべていた。いいのか雫、そんな頭で。
ひょこりと顔だけだして少し離れた場所にいるかっずーにひらりと手を振る。あたしからみても素敵な笑顔でかっずーはぶんぶんと手を振り返した。犬だあれ。


「…作業やる」
「俺に任せてよかったろ結城さん?」
「…ほんとだわ」


こっちはちょろすぎて心配になるわ



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