愛しキミへ
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キミが生まれたこの日に。心からの愛を込めて…

切ないまでに恋をして、嫉妬に気が狂いそうになったあの日々も今はいい思い出。

些細な事から始まる軽い口喧嘩も何でこんなに気が強いんだよ!と思っても。

和奈が泣いてしまう位の本気な喧嘩も。

どんな事でも和奈とじゃなきゃダメなんだと改めて思う。

何も知らない彼女をオレ色に染めるつもりが、いつのまにかオレが奈音に染まっていた。


「…上等じゃん」


しかも和奈ときたら読書をしていて本の世界にトリップ中。


「オレを放っておくとか。てか忘れられてね?」


そういや小さい頃から本が好きだったよな。よく見ると、泣き笑いしている。


「泣くか笑うかどっちかにしろよ」


至近距離で囁いてやる。


「うわっ!か、和成…ち、近い…よ」


耳まで真っ赤に染め上げて俯くんじゃねぇよ。オレを放っておくからだろ、仕返しだよ。


「で?今日はどちらの世界に?」

「眠れる森の美女…」


しかし今日は和奈の誕生日だろ。

そっと本を取り上げると、あ!!と口が開く前にその唇を奪った。

求める時とは違う甘く優しい、触れるだけのそれに


「ん……はぁ…」


甘い吐息を漏らし上目遣いでオレを見るな。優しくしてやれねぇだろうが…

でも今日は誕生日だからな特別に優しくしてやる。


「和奈、誕生日おめでとう」

「え?あ…」

「なんだ、忘れてたのか?」


忘れてた…と言って、また泣きそうになる。

オレと付き合う事で幼なじみから恋人に変わったオレ達の関係。

帰宅部だった和奈を半ば強引にバスケ部のマネージャーにもした。昔から運動は苦手だった和奈が、体育館を走り回っている。


己の誕生日を忘れるくらいに頑張っている和奈に


「和奈が忘れてもオレが覚えててやる。だから…」


物語の世界から出てこいよ。

たっぷりと愛を囁いてその身に刻みつけてやるから。

耳元で囁く『愛してる』

それは永遠に続く終わらない歌。




愛しキミへ

身体がここにある限り歌い続けてあげる
キミが淋しくないように…