冬の花火
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黄瀬君は、人気のモデルさん。だから、クリスマスの人が賑わうなかにいって、ファンの子に気づかれたら大変なことになってしまう。それに、クリスマスイベントでもやっているのかな

だから、今日のクリスマスもきっと...

ピンポーン

玄関の方でチャイムの鳴る音がした。


「和奈っち」

『!!』

ドアを開け目の前に現れたのは、黄瀬君だった。


『どうしてここに?』

「どうしてってひどいっスよ。せっかく、会いに来たのに...和奈っちは、俺に会いたくなかったんスか?」

『そんなことない。会いたかった』

「そんなの知ってるっスよ。あっ、和奈っち今からでかけるっスから、上着羽織ってきてくださいっすね」

『えっ、おでかけできるの?』

「そうっスよ。そのために、呼びに来たんっスから」


私は、黄瀬君をいったん家に上げ急いで自室に向かい着替えた。


『今から、どこ行くの?』

「いいから、ついてくるッス」


そのまま、手をひかれ車に乗せられた


『ここは...』


連れてこられた場所は、カップルがひしめき合う遊園地だった。


『でも、黄瀬君こんなところ来ちゃったら、余計にばれちゃうんじゃ...』

「それは、大丈夫っスよ。今日ここにいる人たちはカップルっスよ。自分の相手しか見てないっスよ。それに...」


そう言って、黄瀬君が取りだしたものは、帽子と眼鏡と...


『カツラ?』

「そうっス。いざとなれば、これをかぶれば大丈夫っス」


本気ですか...かぶらないことを祈ろう


「それより、早く中に入るっすよ」

『うん』


黄瀬君に手をひかれ、遊園地の中に入った。黄瀬君の、予想通り周りの人たちは自分たちの世界に入っているようで、黄瀬君はまったく気づかれなかった。

そして、いろいろな乗り物に乗ったあと乗ろうとした乗り物は...


『観覧車?もう少し最後に乗りたいな...』

「いいから、乗るっスよ」

手をひかれ、観覧車に乗る。黄瀬君は、私の隣りに座りギュッとしてくれた。


『どうしたの?』

「やっと2人っきりになれたから、充電っス」

『今日は、どうしたの?』

「何にもないっすよ。それより...」


黄瀬君の顔が徐々に近づいてくる。


『黄瀬君...』

「和奈っち」


もう少しでという時にシュ〜...バァーン

花火の鳴る音がした


『えっ、花火!?』

私は、黄瀬君から離れ花火を見るために窓際に行くと


「和奈っち。ホント嬉しそうっすね。でも、そんなに、喜んで貰えたなら俺も嬉しいっス」
 
『俺もって...この花火ってもしかして』

「そうっス。この花火俺が遊園地側にいって打ち上げてもらったんス」

『ホントに?そんなことできるの?』

「それは、ひみつっス。それより、今は花火を一緒に楽しむっスよ」

『うん』


私の後ろから手をまわしギュッと抱きしめてくれた。ぬくもりを感じながら、冬の透き通った空に浮かぶ花火を私たちは見つめた。


「和奈っちこっち向いて」


私は、そのまま振り返ると

チュ

キスされたと同時に、シャッター音が響いた


『ちょっと、黄瀬君今写真撮った』

「今日の記念っス」

『今すぐ消して〜』


私が、何を言っても黄瀬君は、嬉しそうにしているだけだった。




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