あめいろの日
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「テツヤくん!」

「なんでしょうか和奈さん」


お昼休みわたしは彼氏である黒子くんをデートに誘おうと思っている。


「あのさ、今週末って部活オフじゃん?」

「そうですね」

「予定とかって入ってる?」

「今は入ってないですよ」

「本当!?じゃあさ、久しぶりに2人で出かけない?」

「いいですよ」

「やったぁ!」


こうしてあっさりとデートの約束はできてしまった。



そして当日。起きて外を見たわたしは絶望した。


「雨じゃん…」


外はどんよりと暗く、部屋の窓は雨によって濡れている。


「せっかくのオフだったのにー…」


私がうなだれていると携帯から着信音。ディスプレイを見ると黒子くんの名前。わたしはすぐに電話に出た


「も、もしもし!」

「おはようございます。」

「おはよう!」

「今日のことなんですが…」

「あ…雨、降ってるよねー…せっかくのオフだったのに、残念だけど」

「ですから、僕と奈音さんの支度が終わったら、和奈さんの家に行ってもいいですか?」

「……え?」

「だめですかね…今日は和奈さんと1日一緒にいたいと思ってしまっているのですが」


黒子くんのこの台詞で私の沈んだ気持ちは一気に晴れた。


「!!だ、だめじゃないよ!すぐ準備終わらせる!!」

「本当ですか。ありがとうございます」

「うん、終わったらまた連絡するね!」

「お願いします」


そう言って電話を切る


「よしっ、すぐ準備終わらせないと!」


わたしは早速黒子くんを迎える支度をした。

自分でもはありえないと思う早さで支度を終え、再度黒子くんに連絡をした


「黒子くん、終わったよ!」

「それでは、行きますね。」


黒子くんは連絡を入れてからすぐに私の家に来た


「はやかったねー」

「早く和奈さんに会いたかったので」

「えっ…」


わたしは不意に言われた言葉にドギマギしてしまった。きっと顔も赤かったに違いない、なんて思っていたら


「顔、赤いですよ?大丈夫ですか?」


黒子くんに言われてしまった。


「…今日とか、昨日の黒子くんってなんだか積極的、っていうか、大胆、って言うか…」


私が言葉を詰まらせながら言うと黒子くんは


「…嫌いですか?」

「そ、そんなこと…!」

「好きですか?」

「は、はいっ…」


まっすぐ見つめてくる黒子くんに思わず敬語になってしまう。


「なら、言ってください」

「えっ?」

「和奈さんの口から好きと聞きたいです」

「え、えぇっ!?」


普段、こんなことを言わないので、どこで覚えたの?黄瀬くん?黄瀬くんが何か吹き込んだの?なんて考えていたら黒子くんの顔がすぐそこにあった。


「だめですか?」

「あ、あぁ…えっと、だめ、じゃないです」


私の言葉を聞くと彼は一瞬だけ微笑むとまたすぐにまっすぐにこちらを見つめてきた。


「では、お願いします」

「い、いきなり言うの…!?」

「お願いします」

「う、うぅ…す、好きです」


ためたせいで余計に恥ずかしくなったわたしは言い終わると同時に下を向いた。

するとすぐに黒子くんによって視線を戻された。

とにかく彼と目を合わせることができないわたしは必死に視線を泳がせる。


「和奈さん。」

「は、はい!!」


あ。声裏返ったかも。


「ありがとうございます。嬉しいです。」


彼はそう言うと私の額にキスをした。

久しぶりのデートが雨になったのは残念だったけれど、その雨のおかげで黒子くんは家に来てくれた。

それにこんなにあまい時間をすごすことができた。雨のオフも悪くないと思った。

雨はまだ降ってるみたいだし、黒子くんも家にきたばっかりなので、わたしはもう少しこのあまい時間を過ごせるのだと思うと、自然と頬が緩んだ。



(どうかしましたか?)
(黒子くんとこうすることができてよかったなぁって。雨も悪くないなぁって!)
(僕もそう思ってました。)
(本当!?以心伝心ってヤツだね!嬉しいなぁ)




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