From Me To You
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「僕は和奈さんが好きです。付き合ってくれませんか?」


真っ直ぐな眼をしたテツくんは真っ直ぐな言葉で気持ちを伝えてくれた。

私も自分の気持ちを伝えたくて言葉を探したけど顔を上げて目が合ったらもう頭は真っ白で

はい

と小さく返事をしてうなずくのがいっぱいいっぱいだった。


From Me To You


「和奈さん、おまたせしました。」

「テツくん!待ってないから大丈夫だよ。」

「あれ、髪型かえましたか?」

「うん。昨日ね。変かな?」

「すごく似合ってます。かわいいですよ。まぁかわいいのはいつもなんですけどね。」


そう言ってテツくんは私の顔を覗き込むと目を細めて優しく微笑んだ。

その顔にどきりとしてありがととだけ言って先に歩き始めると、くんとかばんを引っ張られ、何?と振り向けば


「手を。」


そう言ってそっと私の手を握る。

こういうさりげないところとかが好き。いつまでたっても慣れない私は毎回赤くなってしまうんだけど。

私もずっとテツくんのことが好きだったから告白されたときは本当にうれしかった。

テツくんはいつだって思ったことをストレートに伝えてくれる。それに比べて私は恥ずかしくて付き合ってから好きと言葉で伝えられてない。

久しぶりにゆっくり時間が取れた今日、照れてばかりじゃなくてしっかり言葉で伝れようと思う。テツくんを喜ばせたいから。



今日は1日一緒にいられる久しぶりのデート。ごはんを食べて、映画を見て...

ごはんのときに


「あ、あのねテツくん!私ちゃんと伝えてなかったかもしれないけど、私はテツくんが、」

「はい。」


その続きがなかなか出てこなくて壊れたオルゴールみたいにす、す、す、とどもっていると


プルルルルルル


「あ、僕ですね。」


と携帯に邪魔され言えず。そのあとも人がいっぱいいたりしてタイミングがつかめなかった。

気合を入れるほどなんだか空まわってる気がする....



「和奈さん僕の顔何かついてますか?」

「え!?なんで?」

「なんだか今日はじっと僕の顔見てること多いですよね?」

「そうかな?そんなことないよ!」


テツくんするどい。気持ちを悟られたくなくて視線をそらすと


「そんなにじっと見てるとキスしちゃいますよ?」


と耳元でささやかれた。一気に顔が熱くなるのを感じる。


「っな、こ、こ、こんな人前で...!?」

「冗談です。和奈さんは本当に照れ屋ですね。」


そうテツくんは楽しそうに笑っている。


「テツくん!分かっててやってるでしょ!」

「すいません。反応がかわいくてつい。怒りました?」


そんな笑顔で言われたら怒りたい気持ちもどこかへ言ってしまう。
あ、今かもしれない。


「怒ってないよ。私はそんなテツくんもす、「えーーーうそーーまじで?」」


後ろを女子高生たちが大きい声で話ながら通り過ぎていく。


「すいません、今なんて言いましたか?」

「.....なんでもない。」


そんなこんなであっという間に夕方にやってしまった。やっぱり2人きりになれるところにいくしかない。


「テツくんここ海が近いみたいだからちょっとお散歩しない?」

「いいですね。行きましょう。」


そうして2人で手を繋いで浜辺をゆっくり歩いく。それから並んでベンチへ腰かける。


「やっぱり冬の海はちょっと冷えるね。」


そう言うとテツくんはすっとっ私の肩を自分の方に引き寄せる。


「これで少し温まりますか?」

「うん。温かい。あのね、テツくん、」


横をを向けばテツくんの顔がすごく近くにあって今が言うときなのに体が固まってしまう。

そのままじっと顔を見ていると彼との距離が近づいて、

「目、閉じてもらえますか?」

言うと同時、チュと触れるだけのやさしいキスが降りてくる。そしてふ、と笑い声が聞こえ、


「固まったり赤くなったりあたふたしたり本当に和奈さんはかわいいいですね。今日は特に。」

「え?」


そのままぐっと手に力が込められた。


「今日和奈さんが何を言おうとしているかなんとなくわかります。僕のうぬぼれでなければ。知ってますか?和奈さんは僕と違って思ってること全部顔に出てるんですよ?」

「えっ、うそ!?」

「本当です。くるくるといろんな表情をする和奈さんは見てて飽きないです。僕を喜ばせようとしてくた、違いますか?」

「そう、です。」


全部気づかれていたなんて恥ずかしすぎる。テツくんはなんでもお見通しだ。あたふたしてる私を見てるのが面白くて今日1日何も言わなかったみたい。

それから片手で私の髪を撫でながらやわらかい笑顔を向けられる。


「無理しなくてもそのままの和奈さんが好きですよ。あ、でも言ってくれたらすごくうれしいです。それか、」


再びテツくんの顔が近くなってキスされると思った私は今度は目を瞑ると想像してた感触はやってこなかった。


「ん、あれ?」


目を開けるとちょっといじわるそうに笑ってるテツくんの顔が目の前にあった。


「気持ちを行動で示してくれるともっとうれしいです。」

「ず、狡いよテツくん...」

「確かに考えてみれば和奈さんからってなかったなと。



和奈さん、大好きです。」


このタイミングでそんな顔でそんなこと言うのは本当に狡い。

心臓がドキドキしすぎて苦しいくらい。だけど私だって。


「私も、だいすき」


波の音が聞こえる冬の海で、初めて自分から彼にキスをした。

そのあとのテツくんの表情は今まで一番さやしい顔だった。




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