短編小説 | ナノ

欲しいのは…



クリスマスは恋人とイルミネーション見にデートに行ったり、一緒に素敵なディナーに行ったり。が、そんな甘い展開は私には無いわけで。

毎年家がお隣で幼馴染みの緑間真太郎…真ちゃん家族とうちの家族でパーティーをします。

まぁパーティーと称してただ私の親と真ちゃんの親がお酒を飲みながらドンチャン騒ぎするだけなのですが。



―――自室。



『真ちゃん…今年も始まったね、クリスマスパーティーという名のドンチャン騒ぎ』

「毎年ながらうるさいのだよ」

『確かに。にしても…年々うるさくなるね』

「ああ」


只今私の部屋にて2人っきり。

実は私、真ちゃんが好きだったりするわけです。ただ幼馴染みの関係を壊したくないから告れない訳です。あー緊張しちゃう。

するといきなり部屋の扉が開いて、かなり酔っている私の父親と真ちゃんの父親が入ってきました。


『ちょっとお父さん!?開けるときは何か言ってよ!』

「細かいことは気にするな!」

「父さんもなのだよ。つぐみは一応年頃で人様の部屋だろう」

「真太郎は堅いな〜!お前だってつぐみちゃんの部屋に入ってるじゃないか〜」

「俺は許可をとったのだよ」

『で何しに来たの?』

「いや、毎年お前たちが俺たちが酒飲み始めたら部屋にこもるだろう?だから2人で何処かに行ってきたらどうだ?」


ああそう言うこと。

ただ私たちが邪魔と言いたいわけですね。なんともヒドイ親父なこと、しかも2人っきりなんて!


『真ちゃんどうする?』

「そうだな…たまには2人で出かけるか」

『うん!どこいく?』

「確か駅前にイルミネーションがあると聞いたのだよ。そこに行こうか」

『そうしよ!』


何やらイルミネーションなんて恋人っぽいじゃないですか!今日だけお父さんがいい人に見えた。


『真ちゃん真ちゃん!とっても綺麗だねっ』

「つぐみ待て。しっかり前を向かないと人に当たるのだよ!」

『大丈夫だって〜♪あ、すみません…』


真ちゃんが注意してくれたのにすでに人と当たってしまいました…。


「本当につぐみは世話がやけるのだよ…」


と言って私の手を握ってくれました。


『真ちゃん!?て、手!!///』

「ああ。つぐみは危なっかしいから握っておくのだよ」


なんたる急展開!人混みに感謝しなければ…



段々と辺りが暗くなってさっきより一段とイルミネーションの明かりが綺麗に見えます。


「そろそろ帰るか。もう酔い潰れていると思うのだよ」

『確かに!帰ろっか…』


とても楽しかったけどやっぱり少し悲しいな、2人の時間が終わっちゃうんだもん…。


「つぐみ」

『ん?』

「クリスマスプレゼントなのだよ。」

『ありがとう!』


毎年私たちはプレゼント交換するのがお約束。去年はテーピングセットをあげたんだよね(笑)


『開けてもいい?』

「ああ」


細長い箱を開けるとオレンジ色の星がモチーフのブレスレットがありました。


『可愛いっ!真ちゃんにしちゃナイスな選択だね?』

「う、うるさいのだよ!///」

『早速つけちゃお♪……どう、似合う〜?』

「似合っているのだよ」

『ありがとう!私家に置いてきちゃった…急いで帰ろうか、プレゼントあげたいし』

「ちょっと待て」


真ちゃんに腕を掴まれて歩くのを阻止されたと思ったら急に真ちゃんが抱き締めてきました。


『し、真ちゃん…?』

「別に物なんていらないのだよ。それより…」

『それより?』

「お前の心が欲しい。俺を好きになってくれる心が…好きだつぐみ」


一瞬耳を疑った。私は都合のいい夢を見てるんじゃないかって…


『真ちゃんもう一回…言って?』

「何度でも言ってやる。つぐみ好きだ」

『わ、私も…グスッ…好きっ』


もう顔が涙でぐちゃぐちゃだけど気にしない。私だって好きなんだもん。

これから先も真ちゃんと一緒にいれるんだね、幼馴染みじゃなくて恋人同士として。

今年のクリスマスプレゼントはとても豪華になりました!



欲しいのは…


(手繋いで帰るのだよ)
(お父さんたちにバレちゃうよ?)
(大丈夫だ。つぐみのお父さんには許可をもらったのだよ、嫁にもらうと)
(よ、嫁!?///)



--( ˘ω˘) アトガキ--

クリスマス企画、愛様リクエストでした。ご本人様のみ持ち帰り可能です。



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