短編小説 | ナノ

初めての味



「つぐみ、キスしたい」

『…へっ?』

「いいだろう?」

『いやいや、何押し倒してるんですか!』


私は幼馴染みの征十郎と付き合って2ヶ月になろうとしています。

私も征十郎も付き合うのが初めてなので、言えば恋人通しがすることは2人にとって初めてというわけです。

そうなるとキスもお互い初めて、いわゆるファーストキス。もっとロマンチックな感じでキスしたかったのに…なんて言ってもどうやら遅いみたいだ。


「別に嫌なら嫌と言っても構わないんだよ」

『別に嫌じゃないよ?でも急すぎないかな…』


いつも冷静沈着の征十郎が少し焦っているように見えた。


「朝比奈はお見通しだな」

『伊達に幼馴染み兼彼女していませんからね〜』

「つぐみにそう言われるとはな…」

『で、なんで急いでたの?』


馬乗りになっている征十郎を私の上から退かせて返答を待った。


「黄瀬に言われたんだ。『2ヶ月付き合ってキスしないとかあり得ない、普通初デートでキスする』って」


少ししょんぼりする征十郎は可愛かったけど、口に出していうとハサミを突きつけられそうだから辞めておこう。


『征十郎、大丈夫。私は"普通"なんて気にしないよ?いつもみたいにさ、私たちのペースで段階を踏めばいいんじゃないかな?』


そう言いながら征十郎にもたれるようにして腕のなかにおさまった。


「…確かにそうだな。急ぎすぎるなんて僕らしくない」

『そうだよ。征十郎はいつでも自分が正しいんでしょ?』

「…バカにしてる言い方に聞こえるんだが」

『そんなことないよー!』

「そんなつぐみにはお仕置きが必要かな」


そう言うと征十郎の顔が近づいてきた。これは…と考えていたけれど、いざされるとなるとドキドキして何も考えられなくなった。

ドキドキしながらも私は目をつむった。

触れるだけのキスが終わって目を開けると征十郎が少し顔を赤く染めていた。


「つぐみの唇からイチゴの香りがしたんだが…飴でも食べたのか?」

『あー…多分リップじゃないかな?』

「僕たちの初めての味はイチゴ味だね」

『そうだね…』



初めての味

(初めてのキスはイチゴ味。次はどんな味なのか、少し楽しみです。)



-( ˘ω˘) アトガキ--

麗娜様へキリリク!大変遅くなってすみません(´・ω・`)


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