「よし。なまえ、次の土曜日は一緒に料理しよう。」 「は?何言ってんのあんた。」 「大丈夫だ。部活は休みにしてある。」 「いや、そんなことは聞いてないし。」 私の王子様は、時々突然変なことを言い出す。普段はクールというか、ポーカーフェイスというか、とにかくまさしくイケメンって感じでカッコいいのに、私と2人きりになるとネジが緩んでキャラが変わる。残念なイケメンに格下げする。でも、私にしか見せない一面っていうのは彼女である私の特権だから、それはそれで嬉しかったりもする。それに、そんな残念なイケメンを“私の王子様”呼ばわりしちゃってる時点で、私の趣味も大概だなと思われるに違いないでしょ? 「たまにはいいじゃないか。料理、楽しそうだろう?」 「楽しいとかそういう問題じゃない。」 「ああ、そっか。メニューだよね。そうだな……ピザにしよう!」 「宅配でいいじゃん!金持ちでしょ?!宅配してもらえ!」 「いや、ピザを作るのには男のロマンが詰まっている。」 「男のロマンに付き合う気はない!てか、あれでしょ?あの上に投げてクルクルーってしたいだけでしょ!どこが男のロマンなの?!」 「それこそが男のロマンだろ?」 意味がわからない。そうそう、意味がわからないと言えばこの間もこんなやり取りがあった。突然赤司が“なあなまえ、僕になまえの処女をくれ。”と言ってきた。この時はこいつをヤろうかと思ったよ。あ、違った。殺ろうかと思ったんだよね。まあ、とにかくオフ状態の赤司には気をつけなければならない。しかし、今回は唐突で変なことではあるがいつもと違う類の事を言っている。だからきっと何か違うことを想定しているだろうと私は思っているのだ。きっとそう。 「まあ、男のロマンの話は置いといて。結局あんたはそのさきに何を望んでいるのかな?」 「ふっ、流石なまえだ。なまえには敵う気がしないよ。」 「やっぱり。何を期待してる?」 「ん?それは秘密に決まっているだろう?流石にそこまでは教えないよ。」 何それ、そこまでバラしておいての秘密ってどういうこと!?逆にすっごく気になるんですけど!ほんと、何考えてるの?そして、最後にふっと柔らかく微笑むのヤメテ!めっちゃカッコ良くてオフモード赤司なのにドキッとしちゃったじゃん! 「何よー、教えてよー!」 「嫌だ。と言ったらなまえはどうする?」 「うーん……くすぐりの刑に処する!」 「ふはっ、くすぐりの刑か。なまえらしい刑だな。」 「どういう意味よ。」 「そのまんまの意味だ。なまえらしくて可愛いという意味だよ。」 「なっ!くすぐりの刑のどこが可愛いっていうのよー!」 「可愛いものは可愛いから仕方ないだろう?」 「うっ………ていうか、教えてくれないの?」 「まあ、教えてもいいんだけどね。」 いいのかい!最初に拒否ったのはなんだったの?!なんて思ったけど、それ言ったらまた話がずれそうだし、今回は言わないことにする。あんま変なことじゃないといいんだけどなー。ま、そんな薄い期待をしてもしょうがないとは思うんだけどね。 「じゃあ教えて?」 「うん、いいよ。」 レシピと下心 (実は、男のロマンによってベトベトになったなまえをそれと一緒に食べたいなと思ったんだ。) (やっぱ聞かなきゃよかった…) |