◎高熱の予感

森山に告白されてから早くも2週間が経とうとしている。あの後家に帰ってから嬉しいのとちょっとだけ気恥ずかしいのとでベッドの上でごろごろと転がり回ったのが懐かしい。その後森山から今度の水曜部活休みになったから一緒に帰ろうというメールが来て、ああ夢じゃなかったんだなあなんて思ったりもしたものだ。笠松はあたしと森山がこうなるって分かってたかのような表情を浮かべるもんだからしばらくはなんだか気恥ずかしかった。なんというか片想いしつつずっと友人のポジションだったから関係が一気に変わるとなるとこそばゆいのだ。

付き合ってから初めて一緒に帰った日に手をつなぐまではいったのだけど、キスされそうになるとテンパってしまって結局その日は手をつなぐ止まりだった。森山はまだ早いかなんて言って笑ってたけど、内心どうなんだろう。友人にこっそり相談してみてもそれはないわーなんて言われてしまって、なんであたしあの時あんなにテンパっちゃったんだろうと何度も後悔した。そして今日はというと初めてあたしの家に森山が遊びに来てて、親も姉も外出中といういわゆる二人っきりな状況なのだ。この間のことで別に気まずいとかそういう空気はないけど、それでもどきどきは消えない。


「苗字−」
「わ、な、なに?」
「そんな緊張しなくても取って食ったりしないよ」


まあこんくらいは許してほしいけどな、なんて言ってあたしの後ろから腕を回してあたしを抱え込むような体制をとる。う、嬉しいけど、この体制って絶対あたしがどんだけどきどきしてるかばれる気がする。


「普段はわりとクールめの印象なのにな」
「だってなんか近すぎるっていうか、ああもうばか。森山のばか」
「可愛いって言ってんの」


それを聞いてまたあたしの心臓はどきどきと音をたてる。ずっと友人だったからいきなりこうやって近い距離をとられるとどうしたらいいか分からない。うー…と呻きながら体育座りしていた足の間に顔を埋めると耳元でリップ音。え?と思ってばっと振り返ってみるとしてやったりな表情の森山が居て、あたしの体温はさらに上昇していく。


「な、い、いま…!」
「うなじごちそうさまです」
「と、取って食ったりしないって言ったくせに」
「あー…でもまあ俺も男ですから」


で、そろそろこっちにしてもいいか?なんて妙に真面目な顔つきで唇をなぞられたら首を横になんて振れない。ぎゅっと目を閉じて数秒後、柔らかい感触とともに後頭部に回された手。その手がいつもより温かくて、森山も照れたりするんだなあなんてぼんやりと考える。何回か角度を変えて口づけられた後、そっと目を開くと頬が仄かに赤い森山が居て、なんだか可愛いなと小さな笑い声をこぼしてしまった。


「笑ってるとこ悪いけど、これで満足なんてしてないからな」


そう言ってにやりと笑う森山。ああどうやらこの先も前途多難のようである。



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