夏の指輪 | ナノ



09
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「汐田さーん。次の獲物を見つけたよー。って、あれ!?」

次の被写体を見つけたヤナが、ササヤンくんの隣に立つわたしのところへ駆け寄ってきて顔を覗き込んだ。

「どうしたの?涙目だよ??」
「え?あ、いや、またコンタクトがずれちゃって、、、」
「うわっ、大丈夫??目が乾き気味なのかなあ?」
「うん。平気、平気。」

手の甲でグイッと涙をぬぐうと、少し離れた場所から「おーい」と手招きをする八ヶ崎さん達のところへ歩いて行きつつ、背後にいるササヤンくんとヤナのやり取りに聞き耳を立てる。

「ササヤンは何してんの?ボーッとしちゃって。」
「や、、、何してたんだっけ?えっと、確か汐田さんと写真の話をしてて、、、」
「へえ。そうなの?」
「あれ、そういえば吉田達は?」
「えー、もう水谷さん達と夜店見に行っちゃったよ?」
「えー、マジで?ちょっと追っかけてくるわ。」
「いーなー。夏目さんと夜店!うーらーやーまーしー!」
「だから、そんなによくもないって、あの人、、、」

ちらっと後ろを振り向くと、駆けて行く彼の小柄な後ろ姿が、お祭りの人ごみの中へ消えて行くところだった。


バイバイ、ササヤンくん。夏目さんによろしくね。


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