01
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「右手の中指にはめて願えば"忘れる"。左手の中指にはめて願えば"思い出す"。」
「え?」
「だーかーらー、こう。」
柄シャツを着た胡散臭い男は、わたしのかけてる眼鏡をヒョイッと取って自分の胸ポケットに入れると、右手の中指にその指輪をはめた。
「おや、お嬢ちゃん。眼鏡どこやったのさ?」
「え?え??」
そういえば、視界がぼやけてる。自分の顔に手をあてると、家を出たときには確かにかけていたはずの眼鏡がない。
「あれ?わたし、今日眼鏡、、、」
オロオロと慌てるわたしを満足げに見ながら、男は右手にしていた指輪をはずして、左手につけ直したりしている。ちょっとちょっと、なんなの?眼鏡せずにこんなところまでどうやって来たの?わたし。
、、、、、って、あれ!?
「あ!眼鏡、胸ポケットに!!」
「そうそう。今、俺は君の眼鏡についての記憶を消して、また戻したってわけ。」
ニヤニヤしながら胸ポケットから眼鏡を取り出し、わたしに返してくれる。
「わかった?」
「えーと、えーと、わかったような、わからないような、、、」
「ま、いいや。とにかく、君にあげる。」
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