06
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「あの、、、」 「んー?なにー?」 「さ、ササヤンくんはさ、その、夏目さんとつき合ってたり、、、するのかな?」
ポケットの中の指輪を握りしめながら、いつも頭の中で反芻するだけだった質問をぶつけてみる。本当だったら全然関係ないわたしなんかが聞いていい質問じゃないだろうけれども、これがあれば、後で、なかったことにできる。よね?
「え?」 「あ、ゴメン!答えたくなかったら全然いいの!!」 「なんで、、、そんなこと聞くの?」
ジッとこっちを見るササヤンくんの目を、まともに見返すことができない。 ああ、なんて話を振ってしまったんだろう。もう本当に自分が嫌になる!!
リカバリーが自由自在だなんて酷く意気地のない精神で、覚悟もなく挑んだ結果がどういうことになるのか、浅はかなわたしにはまったくわかっていなかった。
なんて答えようかと少ない脳みそをフル回転させながらも、右手はポケットの中で例の指輪を中指の第二関節までひっかけている。逃げる気満々だ。
「や、あの、その、、、ちょっと気になったもんで。」 「ふーん。そういう風に見えるんだ、、、」
そう言ったササヤンくんは、少し嬉しそうに見えて。胸がどんどん苦しくなってくる。
そんな顔しないで欲しい。 そんな顔、、、今つき合ってないとしても、わたし的には惨敗じゃないか。
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