05
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あんなの、ずるいよなー。他の人には無愛想なのに、自分にだけは笑いかけてくれるなんて。しかもあんな綺麗な女の子にだよ?男の子だったら誰でも彼女のことを好きになってしまうじゃないか。
やっぱり、ササヤンくんは夏目さんのことが好きなんだろうか?というか、あんだけ四六時中一緒にいるんだし、もしかして、もうつき合ってたりするのかな??
「汐田さん?」 「・・・・・」 「汐田さん!」 「、、、え?あ、ササヤンくん!?なになに??」
突然、本人から声をかけられて挙動不審状態に。とは言え、彼にはそんなこともあまり気にならないらしく、笑いながら言葉を続ける。
「もう、何度も呼んでるのにボーッとしちゃってさあ。大丈夫?」 「え?ボーッとしてた??ゴメン、ゴメン。」 「ねえ、汐田さんは写真入らなくていーの?さっきから撮ってばっかりじゃん。」 「ああ、いーのいーの。撮る方が好きだから。」 「ふーん。オレ2Aじゃないし、いつでも代わるよ?汐田さんほど上手く撮れないだろーけど。」 「や、そんなことないよ!ササヤンくん、写真の構図の取り方とかすごくいいよ!」 「そう?サンキュ。」
ササヤンくんもどうやら写真が好きみたいで、イベントのたびにちゃんと携帯じゃなくデジカメで撮影をしては、みんなにプリントしてあげている。わたしも、一年のときは同じクラスだったので、何枚か家にササヤンくんの撮った写真があるのだけど、、、
昨年の文化祭。 お化け屋敷の受付をやっていたときの一枚は、わたしが写真の中心にいて。 この一瞬だけは、間違いなく彼のピントがわたしに合っていたのだと思うと、ドキドキが止まらなかった。
そうだ。あのときには、もうすでに彼のことが大好きで、
そして、この夏。夏休み中には、この想いを告げようと密かに決心していた。
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