夏の指輪 | ナノ



04
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「あれー、吉田くん浴衣じゃーん!」
「写真撮ろーよ、写真!」

浴衣を着て、彼女と一緒に歩いてくる吉田くんを見つけて、ヤナ達が駆け寄っていく。新学期当初はみんなに恐れられていた吉田くんも、野球部の面々をとっかかりに、だいぶクラスに馴染みつつある。

とは言え、液晶の画面をのぞくとピシッと固まった顔の吉田くん。あはは、大丈夫かな?ま、いっか。

「じゃ、いくよー。」
「「「オッケー!」」」
「ハイ、1たす1はー??」
「「「2のAー!」」」

最大のレアキャラである吉田くんをファインダーに納めたんだもの。これは2Aコンプリートも夢じゃないぞ、と、ホクホクしながら液晶画面でデータを確認していると、ヤナ達がソワソワとし始め空気が変わった。どうやら、吉田くん達のところに隣のクラスの夏目さんが合流したようだ。

昨年一緒のクラスだった夏目さんは、うちの学校一の美少女だけれども変わり者。いつもは無表情で取っ付きにくい感じの人なんだけれども、水谷さんや吉田くんの前では別人のように明るい。

そして、もう一人、わたしが一年のときから片思いをしているササヤンくんの前でも。


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