03
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今日は夏祭り。日が沈んでからワラワラと神社に集まりはじめたクラスメイト+野球部の面々と、境内の入り口近くの植え込みを陣取っております。
「A組のヤツを見つけて全員分の写真を撮る!」というヤナの野望に加担するべく、写真部のわたしがさっきから毎回シャッターを切っているところだったりするわけで。でも、まあ、お年玉を総動員して買ったコンパクト一眼レフが大活躍で嬉しい限り。
「あ、いてっ。」 「どうしたの?奈那子。」 「や、コンタクトがずれちゃって、、、」 「へえ!汐田さんって、コンタクトだったんだ!じゃ、家だと眼鏡?」 「う、うん、そうだけど?」 「いーねー!眼鏡!今度、眼鏡で来なよー。」 「ちょっとー、ヤナって眼鏡女子好きなわけ?さっきも大島さんにデレデレしてたしさあ。」 「なんだよ、八ヶ崎さんには関係ないだろー」
やいやいと言い合いをするヤナと八ヶ崎さんを苦笑いで見つつ、 ふとポケットに手を入れると、そこには小さな指輪。
くるりと輪の部分を指でなぞりながら、昼間にこの参道の前を通りがかったときの出来事を思い出すと、まるで夢でも見てたかのような気分になる。
でも、今、わたしのポケットの中には確かに琥珀色の石がついた指輪が入っている。
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