der heilige Punkt | ナノ



エピローグ
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※悠太side
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「そういうことだったんですか、、、」

祐希の話を聞き終わり、神妙な顔をした春がようやく相槌をうつと、祐希はそれを合図に「もうこれ以上は話すことはないからね、」と言わんばかりに、ゴロンとオレの膝に寝転がった。

今日は週の始まり月曜日。いつものように、屋上に四人。祐希がゴロゴロしているのだって、いつも通りだ。

先週の木曜日。部活が終わって図書室に行ってみると、そこに祐希の姿はなく。携帯には「本借りれたから、先に帰る。」というメールが来ていた。その日の夜遅くまで、ゴソゴソとレポートを書いていたようだけれども、どうやら提出期限の金曜日には出せたようで、土日も、相変わらずゲームをしたり、漫画を読んだり。やっぱりいつもと変わらない祐希がそこにいた。

でも、何かが少し違う。何が違うか聞かれても、うまく説明はできないけど。

そもそも、最初から気にはなってたんだ。あの祐希が、一度会っただけの人に会釈で挨拶をしたり、それこそ名前を覚えているなんて本当に珍しいことで。

でも、話を聞いてみても、いなくなってしまった先輩の経緯はドラマチックだけれども、二人の間に特に何があったというわけでもないわけで、、、

「そういえば、お前、さっきレポート返って来てたろ!」
「ああ、うん。見る?」
「お、見る見る。ちゃんと合格点もらえたのかよー?お前のことだからまたギリギリなんじゃねーのー?」

重苦しかった空気が、要のわざとらしいくらいに明るい声で少し和らぐ。祐希は反動をつけて、ヒョイッと起き上がるとリュックの中からレポートを取り出して要に渡した。

「どれどれ、、、、え!?うそ!」
「どうしたんですか?ボクにも見せてください、、、わ!すごいA+だって!最高評価じゃないですか!」
「、、、え?そうなの?」
「そうですよー!祐希くんすごいですよー!」
「マジかよ。何書いたんだよ、、、」

納得のいかない様子の要につられて、レポートを覗き込むと、そこには「カラマツ」という樹木の生態についてビッシリと書かれていた。

「なんだこれ?」
「ん。植物図鑑の丸写し。」
「はあ?現代詩についてのレポートだろ??」

祐希は「不思議だよね。」とつぶやいてから、もう一度勢いよくオレの膝にゴロンと寝転がった。

「いて。」
「え?どっか当たった?」
「ううん。大丈夫ですけど。」
「あ、そう。」
「、、、祐希は大丈夫?」
「え?」
「どっか、痛くないの?」
「えっと、、、大丈夫。です。」

そっか。ならいいや。

祐希が大丈夫なら、オレも大丈夫。


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