der heilige Punkt | ナノ



08
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「おい祐希、今日も図書室行くのかよ?」
「そのつもりだけど、、、」
「オレも行くわ。」
「えー。」
「なんだよ、その明らかに迷惑そうな顔は!」

だって、迷惑だもん。なんだかんだ言って、要ってけっこううるさいしさあ。おかげで集中できないし。

あと、なぜか設楽先輩が要のことだけ「要くん」って呼ぶ。なーんか、あの人、そういうとこ慣れ慣れしいよね。でも、なんで名前知ってんだっけ?あ、そうか、オレが初日に教えたからか。オレのことは、名字ですら呼んだことないくせに。

名乗れば、呼んでくれんのかな。
浅羽くん?、、、祐希くん、とか?

「おい、何ボーッとしてんだよ。行くぞ。」
「はいはい、、、って、ほんとに要も来んの?」
「ああ、ちょっと気になることあんだよ。」

ふーん。気にしてんですか。あれですか?要くーんとか呼ばれちゃってるから気になってるわけですか?ちぇっ。オレの方がいろいろしゃべってるんですけどー。

すっかり気分を害したので、机にバサッと突っ伏して、うーんと伸びをする。と、そのとき、「気になることって?」と、聞き覚えのありすぎる声が聞こえたので身体を起こすと、春と一緒に並んだ悠太の姿が。

、、、そうそう、うちのお兄ちゃんもね、なんかそうやって先輩のこと気にし過ぎなんじゃないの?めずらしく「あの人誰?」とかオレに聞いちゃってさ、今日なんていきなり屋上に連れてくるし。並んで仲良くプリントなんて見ちゃって。

なんだかどんどん気分悪くなってきた。もう、今日は課題やんの、やめよっかな。そんなオレの不機嫌さもみなさまはまるで気にならないらしく、どんどん話は進んで行く。

「ほら、さっき屋上でも言いかけたんだけど、うちの学校にはさ、」
「うん」
「ないんだよ、そんな委員会。」
「え、どういうことですか??」
「だーかーらー、うちの学校には図書委員っていう役職自体がないの!」
「そういえば、オレもカウンターの中に先生以外の人が入ってるの、初めて見たかも。」
「だろ!?司書の先生が業務は全てやっているから、中学んときと違って図書委員会なんてものは存在しないわけ。」
「じゃあ、設楽先輩は、なんで図書室の仕事なんてしてたのさ?」
「そうですよねえ、、、あ、そういえばお当番は明日で終わりだって言ってましたよ?」
「ふーん、じゃ、今週限定ってことか。」

、、、なんだよ、それ。わけわかんない。
そもそも、そんな人の噂話なんかに興味ありませんから、みんなで勝手にしゃべってればいーよ。無言のまま本とリュックを持って立ち上がる。

「じゃ、オレちょっと行ってきます。」
「あ、だからオレも行くって。」
「はあ?いいよ別に。だいたい先輩が図書委員じゃなくったって、別に要が困ることでもないでしょ?」
「いや、そうだけど、、、」
「悠太達も早く部活に行って来なよ。要だって、ほら、生徒会の仕事あんでしょ?」
「「「・・・・・」」」
「はい。解散解散。終わったらまた迎えに来てよね。」

納得してんだかしてないんだかわかんない3人を教室に残して、歩き出す。
図書室は、向かいの棟の三階。

あれ。だんだん早足になってきた。別に急いでるわけじゃないよ?急いでない。

えーと、この階段を登ったら、校庭に面した長い廊下があって、そこの角を曲がったら、ほら図書室だ。キイッと高い音が鳴るドアを開けて、左側、カウンターの奥に司書の先生が座ってて、その隣にいつものように先輩が座っててさ、何考えてんだかわかんない顔して、黙々と作業とかしちゃって、、、、、


でも、そこに、設楽先輩の姿はなかった。

当番は明日までって、春に言ってたくせに。
先輩は、やっぱりうそつきだ。


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