28.5 知ってた?知ってる。
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※28話中、お店に入ってからしばらくしての出来事として読んでくださいー。 主人公は全身全霊をかけて平静を装っています。
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「そういや愛ちゃん知ってた?アイツ!女にフラれてやがんのっ!!」 「お、今、その話蒸し返しちゃう!?なんつって、相手がすげーのなんの!」 「え?あ、、、あの、、、」
ああ、やらかすと思ってた。 つか、こいつらがネタにしないわけがねえ。
一通り数学の試験範囲を説明し終え一息ついていると、珍しく横で大人しくしていたマーボ達が成田サンに一気に襲いかかる。
「「なんと、あのガリ勉女に!この夏!!」」 「・・・・・」 「はぁ、、、お前らいーかげんにしろ。いつまでそのネタ引っ張ってんだよ、もう秋だぞ。つか、あんたも絶句してんじゃねーよ。」
わりーわりーとか言いながら、まるで反省していないであろうマーボ達を睨みつつ、チラリと成田サンの顔を伺うと、あいつらの勢いに押され、なんとコメントしていいのか困惑はしているものの至って平静。
留学前に「水谷さんとはどうなったの?」なんて聞いてきたくらいだから、少しはオレに興味があるのかと思ってたけれども、やっぱり気のせいだったようだ。まったく、どいつもこいつも、このオレ様が眼中にないってのはどういうこった!?
ちっ
「舌打ち!ヤマケン、お前女の子に向かって舌打ちはねーだろーが。」 「ああ?お前らにしてんだよ、お前らに。」 「あああ、みんなケンカしないで、、、ほら、お店の人も見てる、、、」 「っていうか、愛ちゃん、もしかして知ってた?」 「えーと、、、うん。ちょうど今朝サヤカから聞いて、、、きっとマーボくん達に会ったら聞くだろうからって。」
成田サンは、すまなそうな顔でこちらを見ると「ゴメンネ。影で噂話みたいなことしちゃって、、、」と頭を下げた。
ふーん?前もって聞いてたから驚きもしないってことか。
それにしても、やっぱり成田サン達は少し変わっている。そこはとりあえず、聞いてないとか言ってごまかしておけばいいものを。サヤカにしたって、成田サンが外に出てきて、そのことを聞く機会があると予想するまでは黙っているんだから、変な女だ。
でもまあ、こういう空気を読まないストレートなところは、 けっこう、嫌いじゃない。
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