02 イレギュラー
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新学期早々にはじまった部活が終わり、校門前で体育教官室に鍵を返しに行ってる友人を待ちながら女子五人でガールズトーク。
「うー、もうダメ。痛い。腕、上がらない。」 「サヤカはさあ、やり過ぎなんだよ。もうちょい手抜きなよ。」 「だってー、、、」
進路指導で3年生がいない日だったので、今日は完全に自主練。わたしは3ポイントシュートの練習をみっちりやってたら、もう、それはみっちりと二の腕に乳酸が溜まった感じです。
「それにしてもサヤカ、あれだけ汗かいててもまつげは上向きなのね?」
制服の上から二の腕をウニウニとマッサージするわたしを見ながら、一人が感心したようにしみじみとつぶやくと、次々と部活仲間が好き放題に言及する。
「でも、なーんか、学年上がってますます派手になってきたよーな、、、」 「あ、確かに!確か一年の夏前までは、もっとお嬢さんっぽかったよね?」 「そうそう。もともと顔立ちは派手だったけど、化粧っけはまるでなかったし。」 「昨年夏に、いったい何があったのか、、、」
「ちょっと、何よそれ。人を高校デビューみたいに言わないでよねー。」と、ブーブー文句を言うと、鍵を返して合流した中学から一緒の菜々実が助け舟を出してくれる。
「そうよー、夏前までのサヤカがイレギュラーだったのよー。今のサヤカがデフォルトだよね?」
うう、なんか全然助けられた気がしないけど、、、でも、まあ、その通りだからしょうがない。
「へえ。なんで、夏前はイレギュラーだったの?」 「、、、えーと、つまんない話で申し訳ないんだけれども、その当時の彼氏が派手な子が嫌いな人で、、、」 「うわっ、それで地味にしてたわけ?」 「サヤカったら以外と乙女!!」 「うるさいなー。別にいーでしょ!」 「あ、でも、夏が終わって?」 「そ、別れたの。」 「なんでまた!?」 「いやー、それが、もっとつまんない話なんだけどさ。藤女の女に寝取られたのよ。」 「うわっ、藤女か!!」
「そう!やってらんないでしょ!?」と、大げさに怒って見せたあと、アハハと笑い飛ばす。もう、傷は癒えている。こうやって、ネタにもできるくらいに。
だけども、その当時、
彼はわたしの「宗教」でした。
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