オトノツバサ | ナノ



01 始業式
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「サヤカ、おはよっ!今回もクラス一緒だったよ!」
「え、ほんと!?ラッキー!」

今日は始業式。わたくし、本城さやか。今日から音羽女学院、二年生です!

クラス発表の張り紙をチェックしてから下駄箱へ行くと、まあ、だいたい知った面々。部活の友達も何人かいるので、安心安心。特に何が変わったというわけでもなく、新学期が始まった。

変わったことと言えば、、、わたしの愛すべき変わり者。成田愛が学校からいなくなったということくらい。

6月くらいに渡欧という話だったはずなのに、語学勉強のために早めに行くと言って、一昨日、オーストリアに旅立って行きました。

そういえば、最後に二人きりにしてやったってのに、女の武器の涙まで見せたってのに、ヤマケンとは何の進展もなかったようで。

もう、なんか、マジで有り得ないんですけど!!絶好の機会でしょ?あいつ、抜け駆けで花束まで用意してんだよ?自覚がないだけで、けっこう愛のこと気に入ってるよね?もう、あと一押しなんじゃないの!?

そういえば、一昨日、わたしが空港まで見送りに行ったときには、目を真っ赤に腫らせて「サヤカがいたから高校すごく楽しかったよ」とか言っちゃって。「日本に一時帰国するときは必ず連絡するからね、会いに行くからね、わたしのこと忘れないでね!」なんて!しゃくりあげながら言うわけよ。いやー、もう可愛くて、可愛くて抱きしめてしまいましたよ、、、って。

っかー!!なんで、同じことを楽屋でヤマケンに向かってやんなかったのよっ!?女友達をきゅんきゅんさせて、どーすんのあんたは!?

最後まで、本当に残念な女子高生だった。ああ、本当に残念。うちの学校のヤマケン争奪戦の勝者が愛だったら、超面白かったのに。一部からの評判は最悪だけど、あいつけっこういいヤツだしね?


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