オトノツバサ | ナノ



02 人を見下ろせるスウジ。
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絶望的な気持ちで入学式に挑みつつも、まだ、かすかな希望を持っていた春先。でも、学校生活にもすっかり慣れ、夏が終わる頃には、完全に気持ちは固まっていた。

わたしは、絶対に、外部受験をする。と。

音楽科のクラスメイトは、普通科以上にお嬢様揃いで。
音楽で飯を食おうと思わなくても、ずっと音楽をやっていられる人種だ。そりゃ、そうだ。

というわけで、わたしは、音楽科のある高校に通ってるにも関わらず、外でレッスンを受け、なおかつ学科試験対策のために一年から予備校に通うことに。どちらかというと、音女音楽科はそれほど頭がよろしくない。このまま高校の勉強だけに頼っていては、とてもじゃないけれどもセンター試験は乗り切れないのですよ。
ああ、もう、なんという二の足。


そんな、秋も深まる10月。わたしは模試の結果を見るために、予備校へ向かっていた。

世の中の高校生は、今頃学園祭の準備で忙しいんだろうなあ。いいなあ。共学で学祭とか。あれでしょ?準備で夜遅くなったりとかして、送ってもらったりして、恋が芽生えたりするわけでしょ?後夜祭でキャンプファイヤー見ながら、告白とかするわけでしょ??

青春だよなあ。女子校じゃ、そんなこともありゃしない。
や、もちろんうちだってありますよ?文化祭。
でも、音楽科のわたしは、音楽堂での演奏会に出るくらいなもんで、部活にも入ってないから模擬店とかないしね。もう、なんか、どうなの?もちろん演奏会に呼ぶような彼氏もいませんし。つか、男友達すらいませんよ。はー、、、

鬱々としながら掲示板の前まで行くと、先客が。
海明学院の制服を着た背の高い男の子と、松楊の制服に二つくくりの地味な感じの女の子。
何やら話をしているので、二人は連れなんだろうけれどもなんともアンバランス。

と、近くまで行くと、
「まあ、確かに上から見下ろすのは気分がいいけど」
と、ギョッとするような台詞が聞こえてきた。

顔色一つ変えずに言い放った彼女を、思わずガン見してしまいそうになったけれども、去り行く後ろ姿のみを拝むだけにして(なんかご利益ありそうでしょ?)自分の名前を探す。

えーと、53位。
おおっ、上出来じゃないでしょうか!

あの松楊の子、いったい何位だったのかな?見下ろすってからには、、、これかな?一位の水谷雫さん。いやいや、松楊にいて全国模試一位ってこたないか?でも、そうなのかな?妬ましいことだ。

というか、共学のくせに、海明みたいなエリート男子校生まで捕まえて、そっちのが妬ましい。ちぇっ。


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