18.5 ニアミス感染。
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本編18の、直後くらいかな? 原作でいうと、ヤマケンが雫と電子辞書買いに行ったときにドタキャンした合コン相手に、後日、本屋でバッタリ会って、、、というお話。です。 ___
ども。サヤカです。 突然ですが、主人公はわたしに変わりました! ってわけじゃないんだけど、ただいま街中でヤマケンとニアミス!!
えー、実況します、実況します。海明学院のヤマケン氏が、予備校近くの本屋の雑誌コーナーで女子高生に捕まっております。えー、そして、相手の女の子二人組、あの制服は、、、ああ、藤沢女子です。藤女。わたし的には派手で品のないバカ女子校!!忘れもしない昨年の夏、藤女の女に彼氏を取られたのよ!や、別にそれを根に持ってるわけじゃないわよ?ほんとよ??
と、まあ、こんな状況の中、わたしは彼らとは棚を挟んだ向こう側にて立ち読み中なわけです。愛のニアミス病が感染したっぽいわ。
「でね、みんなガッカリしてたんだよ!ね?」 「そうそう!もしかして本当は、山口くん呼んでくれてないんじゃない?って。」 「、、、あー、わりい。行くはずだったんだけど、ちょっと用ができて。」
ほうほう。あれだな、さては合コンをドタキャンされたな。 藤女め、ざまーみろ。
「ううん。全然いいの!今度は、個別で遊びにいこうよ!」 「それとも、昌弘くんたちもいた方がいい?四人、いつも一緒だよね?」 「や、別にー。」 「やっぱり?四人の中で、山口くんだけちょっと違う感じするもんね。」 「違うっつか、勝手にあんなバカ達とセットにすんなよ。」 「だよねえ?そういえば、こないだは男の子三人だけが盛り上がっちゃってて、ちょっとねー。」 「ねー、ついていけなかったよねえ。」
と、その後、しばらく女子達の三バカ・バッシングが続く。ヤマケンくんが黙ってるのをいいことに、バカ呼ばわりですわ。や、うちの学校でも確かに三バカとか言ってるけど、それにはけっこう好意というか、愛がこもってるわけで。
あー、なんか、、、なんか聞いててだんだんムカついて来た。 なんだそれ。あの三人のことだから空回りもしたかもしんないけど、一生懸命場を盛り上げようとしたんだろうに。合コンなんて一緒に盛り上がってなんぼでしょ?なんだそのお客様な態度は。ホストクラブと勘違いしてんじゃねーの?! つか、ヤマケンも、自分のツレをそんなしょーもない女相手にバカ呼ばわりすんなっつの!! こう見えても、わたしは情に厚い女なのよ!友情は何よりも大事にするべし!!
あまりの腹立たしさに、ついついドカッと雑誌の陳列された棚を蹴ってしまってから気がついた。おおっ、しまった。ここで聞いてたのバレるじゃん。
案の定、背の高いヤマケンが棚の上からひょいと覗き込み、「あれ。あんた、こんなとこで何してんの。」と。
「はあ?”あんた”じゃないわよ!サヤカっつー立派な名前があんの。ヤマケンごときにあんた呼ばわりされる覚えはないわよ!!」
噛み付かんばかりの勢いでヤマケンに食って掛かると、横で藤女の二人がこそこそと、 「なにあれ、こわーい。」 「名前覚えててもらえなかったからってねえ。」 「アピールみえみえだよね。」 「やらしーよねー。あー、音女か。」クスクス
って、むっかー!!!
「ちょっと、、、別に名前呼んでほしくて言ってるわけじゃないの。あんたたちと一緒にしないでよね。だいたい、さっきからマーボくんたちの悪口ばっか言ってるけど、そっちの方がよっぽどバカっぽいわよ?!」 「うわ、何?まさかの昌弘くん狙い?」 「えー、あり得ないー!」 「はあ!?何があり得ないわけ?ツレの悪口言われて黙ってるような男の方が、よっぽどあり得ないでしょ!?」
んもーう、怒ったぞ!!このバカ女ども!!!と、その時、いよいよキレかかったわたしの肩をヤマケンがガシッと抱いた。
へ? 藤沢女子の二人もポカーンとしてる。
「この子、本庄サヤカさん、ね。」
あれ?わたし今、名字まで言ったっけ??
「あと、あいつらのことバカって言っていいの、オレだけだから。お前ら、二度と顔見せんな。」
あ、女の子達泣きそう。
「おい、行くぞサヤカ。」 こうして、ヤマケン様はわたしの肩を抱いたまま、半泣きの彼女達を置き去りにし本屋を後にしたのでありました。
、、、って、おーい!!!! 店の外に出た瞬間、ヤマケンの腕を勢いよく振りほどき、再度食って掛かる。
「ちょっとー、なんなのよ!!」 「は?」 「は?じゃないでしょ!だいたいサヤカとか呼び捨てにしないでよ!!」 「なんだよ、あんたが名前で呼べって言ったんだろーが。めんどくせーなー。」 「だから違うって言ってんでしょ!!」 「まー、その先のドーナツ屋であいつら待ってるとこだからさ。ほら、行くぞ。」 「はあ!?なんでわたしまで行かなくちゃなんないのよ!?」 「あー、マーボ狙い、なんだろ?」(棒読み) 「ちっがうわよ!!」 「はいはい。わかってるって。とにかくさ、」 「なによ!?」 「あんたは甘いもんでも食って、まず落ち着け。な。」
そのまま、なぜかズルズルとドーナツ屋まで連れて行かれてしまった、わたしですが、
「あ、サヤカちゃんじゃん!?」 「おおっ、ヤマケン、ナイス!」 「ナイス!!」
ニコニコ顔の三人と、それを満足げに見ながらコーヒーを飲むヤマケンを目の前にすると、なんとなくもう文句が言えなくなってしまった。
そうか、これか。 これが愛の言っていた、 「なんかずるい」ってヤツか。
くっそう。
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