オトノツバサ | ナノ



13.5 フラペチーノ二杯目。
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本編12のサヤカちゃん視点。その二。
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「どもどもっ!よくぞいらっしゃいましたっ!!オレ、マーボね!」
「トミオっす。」
「で、こいつがジョージ」ペコリ

うん。知ってる。そして、三バカの本名はわからないままなわけね、、、

「サヤカですー。愛とは中学から同じ学校。」
「へえ。学校どこ??」
「高校は音女だよ。中学は違うけど。」

マーボくん怒涛の質問ラッシュに答えつつ、未だに固まっている男慣れしていないにもほどがある愛をフォローしつつ、、、あら、わたし、今けっこう楽しいわ。

海明と合コンした友達の話では、ヤマケンくんいないと意味ない!!とか言ってたけど、わたしけっこう三バカくん、好きだわ。なんか、男の子ばっかりでつるんでキャッキャしてるのって、かわいいよね。なんか。

と、そこへヤマケンくんがトレーを持って戻ってきた。目の前にキャラメルフラペチーノをトンと置き、「はい。冷たくて甘いの。文句ねーだろ。」と耳打ちすると、自分の分のトールラテを手に持ち、空いてたソファにドスっと座った。

「ちょ!ヤマケン、オレらの分はー!?」
「知らねーよ、自分で買ってこい。」
「んだよ、それ!ふざけんな!!」
「・・・・・」
「ああー?シカトかよっ!!キーっ腹立つー!!!」

大騒ぎのマーボくんとトミオくんとは対象的に、シラッとしたヤマケンくん。変な組み合わせだけど、仲良さそうだなあ。って、それより、フラペチーノ。そうそう、こんなの飲みたかったの!ストローでクリームとキャラメルソースを混ぜながら、ついついニコニコしてしまう。

「あー、もう!!サヤカちゃんもそんなに喜ばないの!!」
「そーだそーだ!ヤマケンを調子に乗らせるだけだって!!!」
「次、オレ買ってくるよ!何飲む?何飲む??」
「えー?だってこれ、今来たばっかだよ?」
「じゃ、愛ちゃんだ!!!何飲む??それともなんか食う!?」
「え、えーと、、、わたしもこれ、まだ飲んでるから、、、あ、ゴメン!そんな顔しないで!じゃ、あれにしよー、クッキー。みんなでクッキー食べよう!ね?」
「よっしゃ、オレ買ってくる!!キミの笑顔のためにっ!!!って、おい、ジョージ、てめえが行くなよ!?」

困った顔で対応しながらも、愛もそこそこ楽しそうだ。
ん?ヤマケンくん、愛のiPod聴いてるのかな??へえ。なに?二人はけっこう仲良し??

これは、愛から恋の相談を受ける日も近いかもなー。

「ちょっとー!サヤカちゃん、なにニヤニヤしてんの!?」
「そんなに美味いの?ちょっと一口、、、」
「ばかっ!トミオ、てめー間接キスを狙おうなんて、抜けがけは許さねえっ!?」

はぁ、、、三バカって、言われるわ。こりゃ。
よくよく見ると、みんなそこそこかっこいいのにねぇ。
トミオくんとか、けっこう好みなんだけどなー。でも愛狙いっぽいしなー。

なんにしろ、この中の誰でもいいから彼女の心を掻き乱して欲しい。わたしは彼女の一番大事な音楽の話ができない分、恋の話がしたい。相談に乗ったり、一緒に喜んだり泣いたりしたい。この、才能あふれる小心者の変わり者と、一歩踏み込んで仲良くなりたいの。

たぶん、一番切実に愛狙いなのは、わたしだ。


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