オトノツバサ | ナノ



13 バス待ちガールズトーク。
=====================

海明四人組との突然のお茶会がお開きになり、ただいま、サヤカと二人でバス待ち中。

「ほんっとビックリしたわよ。駅前歩いてたら、愛がヤマケン一派に囲まれててさー。てっきり拉致られそうになってるのかと。」
「いやいや。でも、正直助かったー。もう、わたし一人じゃどうしていいかわかんなかったもん。」
「、、、で、愛は今でも、ヤマケンくんと別世界を生きてる、と?」

ニヤニヤしながらグッと肩を寄せて聞くサヤカに、こちらは苦笑い。

「んー、別世界なんだけど、ニアミス率というか、なんか遭遇率がめちゃくちゃ高いのよ。」
「それで?」
「で、これはもしかしたら縁があるのかも?と、、、」
「おおっ、それでそれで!?」
「と、思いきや、所詮ニアミスなだけなのよね。」

前のめりで聞いてたサヤカが、大袈裟なくらいガクッとうなだれてみせる。バス停のベンチにさらに深く腰をかけ、「ようやく愛と恋愛話ができると思ったのに、つまんなーい。」とブツクサ。

だってしょうがないじゃん、こればっかりは。
そういえば、結局、こないだの借りは返せなかったなー。今回はサヤカの分までご馳走になっちゃって。あの人はおごられる気があるんだろか?

「そういえばさ、ヤマケンくんって、なんかけっこういい人だよね?愛想はないけど、なんか、普通にうちらに気を使ってくれるし、それが嫌味っぽい感じもしないし。」
「そーなんだよね。学校で聞く話は都市伝説みたいなもんかしらね??」
「さっきだって、"あんまり遅くなる前に帰れ"ってお開きにしたのヤマケンくんだしね。大晦日に見たときは、どこのチンピラよ?って思ってたけど。なんての?意外と紳士的??」
「うんうん。七時すぎで解散って、むしろ、どこのお父さんよ?って感じだよね。」

頷きながら、だんだん嬉しい気持ちになってきた。
そうそう。そうだよね。いいよね、ヤマケンくん。
口は悪いし目つきも怖いけど、顔がいいとかだけじゃなくて、なんか、普通にいい人だよね??
(普通とか言うと、本人はめちゃくちゃ怒りそうだけど)

「そういえば、あとさあ」
「ん?」
「三バカくん達が」
「うん。」
「喋ってみたら、それほどバカじゃなかった。」
「あはははは」

いやいや、サヤカは爆笑してるけどそうだったでしょ?勢い余ってる感じではあるけど、みんないい人だったよ??

「あはは、ゴメンゴメン。えっと、たぶんさ、会ったのが合コンとかじゃないから良かったのかも。」
「そうなの?」
「そうそう。合コンだと、その場を盛り上げる為に極端にキャラ作ったりするしさ。」
「へえ、そういうもんなんだ。」
「あら、愛も体験してみる??」
「うー、なんか大変そうだから、、、遠慮しておく。」
「うんうん。その方がいいよ。って、バス来たー。ほらほら、乗るよ!!」
「あ、待ってよ!!」

とりあえず、今日は少しだけれども合コン気分を味わえた。
そいでもってヤマケンくんと、講習以来、また喋れた。
そして、携帯電話に男の子の名前が新しく三人も増えるとは!
こりゃ、わたしにしては、なんとも景気のいいことだ。


prev next
back



×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -