オトノツバサ | ナノ



10 フラットさんと、シャープくん。
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♭ 愛 side

えー、えーとですね。
なけなしの行動力であのヤマケンくんをお茶に誘い、見事に玉砕いたしました。新年早々、何してるんだかという感じのわたしでございます。

驚いた顔の後、急に怖い顔になって反転、「この後人と待ち合わせがあるから、ぜってー無理だわ。」だそうで。
おまけに、買い物終わったんならサッサと帰れ、だって。

傷つくから怖い顔して「絶対」とか言わないで欲しいわ。はあ。
というわけで、早々に地元まで帰ってきて、駅の近くのスタバでコーヒー飲んでますよ、もちろん1人でな!!!

ダメージを癒すために、砂糖もたっぷり入れた。そして、買ったばかりのイヤホンを取り出しiPodに繋ぐ。

大丈夫、大丈夫。こんなのわかってたことじゃん。相手は天下のヤマケン様ですよ。うちの学年ナンバーワンでも無理なのよ?わたしなんて、一回お茶ができただけでも万々歳ですよ。

あー、一番好きな曲を聴こう。思ったとおり、いい音だ。前に使ってたイヤホンは、どうも低音を強調しすぎで派手な感じ。ドンシャリってやつ。このイヤホンは、なんというかいい意味で「そのまま」聴こえる。フラットに、その音楽を伝えてくれる。

ふと店の外を見ると、ヤマケンくんが例の三人組と一緒に歩いているのが見えた。

えええーーーーーーー。

本当に遭遇率が半端なく高すぎる。なんなのこれ。それなのに縁がないって、本当に嫌になるわ。

でも、

とりあえず、待ち合わせってのが女の子とかじゃなくて、ちょっと良かった。
ダメージが少し修復。




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♯ ヤマケンside


「おーい、ヤマケン。なんで急いで戻ってこなくちゃなんねーの?」
「そーだそーだ。せっかくあんなとこまで迎えに行ってやったのによー。」
マーボとトミオが、ぶつくさと文句を言いながらついてくる。ジョージは相変わらずイルーナ。

「うるせーなー。買い物は終わってるんだからいいだろーが。」
「お前の買い物が、だろ!?」
「俺、ちょっとテレビ用のウーハーとか見たかったんだけどー。」
「またにしろ、またに。」

成田サンとこいつら会わせたら、紹介しろってめんどくせーしな。
くっそ、こいつらが迎えになんて来なかったら、今頃どっかで飯でも食ってたのに。ついてねえ。

それにしても、なんとも掴みどころのない女だ、と思う。
予備校で大学の話をしたときにはずいぶん気の強そうな女だと思ったけど、普段は男慣れしてない感じでオドオドしてるし。気がありそうに見えるのに、他の女どもと違ってメアド交換してもまったくメールを送って来ないし、そうかと思えば急に誘ってきたり、、、ったく、わけがわからん。
ガリ勉女もそうだが、勉強ばっかしてる女にはロクなのがいねえ、、、

「って、ヤーマーケン!!聞いてんのかよ!?ボーッとしやがって!」
「もういいじゃん、マーボ。それよか、あそこにいる女子!こっち見てね?」
「何々?どこどこ??恋の予感!?」
「ほら、あそこ、スタバの窓際。」
「お!可愛いじゃん!!」

はあ?女がこっち見てるっていえば、相手はオレだろ?

って、成田!?
あ、バカ、手なんか振るな!!!!

「「ヤマケン、あれ誰!?紹介して!!!」」
ハモるトミオとマーボ、そして無言で頷くジョージ。

ああ、マジでめんどくせえ、、、

めんどくせえだけだからな。別に他意は、ねえ。


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