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少年の体は、透き通るように白かった。
「おにィさん、僕を買ってくれるの?」
まだ年端もいかない少年が、あどけない表情で私を見上げる。しかしその瞳はしっかりと他人を値踏みする色がある。私が手持ちを伝えると、無邪気なふりをして、顔を近づけてきてクスクスと笑う。肩まである栗色の髪が頬をくすぐった。
「いいよ。本当はもうちょっと高いけどね。おにィさん、僕の好みだから――」
大人を舐めているのか、と思わず説教をしたくなるような口ぶり。だけどこの少年の妖艶さの前にはどんな言葉も意味をなくしてしまいそうで、私は口をつぐんだままでいる。少年に手をひかれるままに歩いていく。
もう秋も近いというのに、彼が身につけているのは真白な布一枚だ。ただ、その布も、少年の肌の白さを引き立たせるための道具となり下がっている。きめ細かな肌が、月明かりを反射してまぶしいとすら感じさせる。
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