1

「あーーーーっ、も゛、…………っーー!!」

ベッドの四隅に縛られた両手両足は、なんとかして逃れようと長い間よじったせいで、何本もミミズ腫れが出来ている。

「とっ、て……ぇっ! おねがっ、触っーーーって、お願っ…!」

もう何十分も全身を仰け反らせ、髪を振り乱して、懇願を口にして、とっくにヘトヘトになってもおかしくない。

たけどそれ以上に、じっとしていてはこの状態で放置されている苦痛に耐え難いのだろう。

単なる興味本位だった。たまたま手に入った「超強力媚薬」を、裸で寝ているこいつに数滴垂らして手足を縛った。

ただ単に垂らしただけではない、こいつの陥没乳首目指して数滴だ。

窪みに入り込んだ媚薬は、体外に流れ落ちることなくそこに留まり、埋まっている乳首の周りをひたひたに満たすことになる。

外界の空気にすらまともに晒されたことのないそれが「超強力媚薬」に浸されたとき、どんなにか強い刺激となるのか、それが見たかった。

「はぁっ、はぁっ、はぁ゛っ!はぁぁ゛っ、!」

訳の分からない身体の疼きに眼を覚まし、何とか鎮めようとするも両手両足の自由は利かない。寝覚めの苛立ちと混乱の中、経験したことのない乳首の疼きに、こいつはかれこれ1時間以上悶えていることになる。

「もう゛、触って、さわって、お願いっさわってえ゛っーーー乳首、ちくびぃっ…!!」

案の定、普段から精々指先の届く先端くらいしか刺激されたことのない乳首は、媚薬に浸けられ、肥大し、未だ味わったことのない刺激を求めて叫び始めているようだった。

このまま時々媚薬を補充しながら、丸1日こいつを放置することを考えるだけでぞくぞくする。が、それだけというのも興がないと思った俺は、ちょっとしたゲームを思いついた。

こいつの陥没乳首が勃起して、埋もれた部分が外に出てこればそいつをたっぷりと嬲ってやる。でも出てこない限りはずっとこのまま。

その意を伝えると、希望と絶望をない交ぜにした表情を浮かべ、1秒でも早く出てきてもらおうとしてか、よりいっそう身体を仰け反らすのだった。

「そ…なっ、お願い、勃起して、はやく…出てきて……っはやくぅっ、」

自分の乳首にお願いしているのではもはや体面もなにもあったものではない。しかし、それだけ必死になるほど辛いのだろうと思うと、やはりこのまま1日放置するのも捨てがたいと思ってしまう。

そんな俺の期待に反して、しかしあれからたっぷり30分ほどかけて、媚薬にぬらぬらと濡れた乳首がぷっくりと勃ち上がったのだった。

「出た、でてきた、っからぁ……触ってぇ!」

5分置きに媚薬を補充してやったせいか、手首のミミズ腫れに血が滲み始めている。それすらも気にならないほど、乳首の疼きは高まっているようだった。

「おね、……がっ、いじってぇ、めちゃくちゃにっーーー気持ちよく、…させてっくださーーッ」

強要もしないのにおねだりを始めたのをみて、それだけ切羽詰まったこいつを、これから俺がたっぷりと気持ちよくさせてやれるのだと考えると、それはそれで堪らない気持ちになる。

どうしてやるかはもう決めていた。別室から持ってきた2本の筆を見せてやると、こいつは息を呑んでいっそ怯えた表情をみせた。

「あ……そ、れ…で、っ弄られたーーら、」

おかしくなっちゃう、か。

もちろんいきなり乳首を弄るようなことはしない。まず脇腹に触れるか触れないかで這わせて反応をみる。

「ひ、ーーーーーーッぃ!!!」

そのまま、両脇を上から下へ、下から上へと何度も筆を往復させると、それだけでびくびくがくがくとひっきりなしに身体が跳ね回る。本物のまな板の上の魚のようだ。

内股、膝、足の裏と這わせてやると、くすぐったさと気持ちよさの狭間で歯を食いしばり耐えていた。

そのまま上に移動して耳の穴を優しく掃除してやるように筆を動かすと、今まで聞いたことのない声が出る。

一通り全身の反応を見終わったところで、ようやく筆の先端を乳首に向ける。手始めに乳輪をさわさわとしてやると、それたけでガクガクッと大きく痙攣した。もちろんまた中心には触れていない。

はじめて外に出てきた花の蕾のようなそれは、今までその根元に埋まっていたとは思えないサイズにまで赤く腫れ上がっていた。ひと撫ででもすれば、どれほどの快感をこいつにもたらすのだろうか、と考える。

こいつが思いっきり喘ぐところ早く見たい、でもこうして耐えている姿もずっと見ていたい。

反する二つの衝動を必死で抑えながら、乳輪をくるくると筆の先端でなぞってやる。乳輪だけでも十分感じるのか、だけれども圧倒的な物足りなさに発狂しそうになるのか、腰を突き上げ、臀部から上半身をまるで腹踊りのように波打たせ、歯がすり減りそうなほど食いしばって身体の中を暴れまわる疼きに必死に耐えている。

「ぃ………んっぁ、っや゛、ーーっひ…ぃ、」

その姿にいつの間にかおれの興奮も絶頂に近づいていた。ああ、すごい。こいつの陥没乳首を引きずり出してやった。空気に触れるだけでびくびくする乳首が、媚薬にどっぷり浸かって、さんざん焦らされて、俺が持ってる筆に弄くられるのを待ちわびて、こいつの腰がうねうねとうねっている。俺は今からこの乳首を、たっぷり、苛めてやれるんだ。

最初は気づかれないように、少しずつ少しずつ中心へと円を小さくしていく。やがて筆が乳首へと近づいていることに気づいたこいつの息が一段と荒くなり、さらにぐうっと身体が仰け反る。

差しだされた乳首が、筆に巻き込まれるように絡め取られた瞬間、喉の奥から絞り出すような喘ぎがこいつの口から発せられる。

「あ゛ーーーっッ、い゛っーーーーー!!」

媚薬の効用で、毛の一本一本が、乳首の根元から先端をまるで生き物のように這い回り、なぞりあげ、嬲られる感覚を味わえるだろう。

「ーーーーっ!、ーーーッッ!……ーーーーっぁ゛!」

仰け反ったままの身体は、がくがくと小刻みな痙攣をもはや自力では止められなくなってしまったかのようだった。

気持ちよさに声も出せず、呼吸もままならないようだった。時折やっとのことで息継ぎをしては漏れ出る微かな声がますます俺の嗜虐心を煽る。

我慢できずに俺は筆の刺激ですっかり膨れ上がった乳首にむしゃぶりついていた。

「……っぁぁあ゛ッ! いま゛、それダメっ!っあ゛!!」

新たな刺激に硬直から一転、まるで俺の舌の動きに合わせるように身体がうねり、波打つ。

右の乳首を弛緩させた舌全体で包み込み、ぴちゃぴちゃと優しく吸い上げてやる。それをやりながら、左側がお留守にならないよう、親指の腹で少し潰しぎみに根元からくりくりと転がしてやる。

「あ゛っぁあっ、これ、すごっおかし、くーーなる゛っ!!」

腰砕け、というやつなのか、仰け反っていた身体はいつの間にかベッドに沈み込み、俺の舌と指の愛撫にされるがままになっている。

「きもぢっ、ぃッ、っあ゛っ乳首、すご、…っきもち、」
いつしか両手が、それぞれを拘束する紐を、縋りつくように握り締めている。

両足がぴんと伸ばされ、緊張と弛緩を繰り返す。

「…イク、いっちゃーーーち、くびでっイく……ッ」

舌と唇で包み込んだ右乳首をじゅるじゅるじゅるじゅると吸い上げ、同時に左乳首を執拗にくりくりと転がし続ける。単調な刺激がむしろ絶頂へ追いつめていくようだった。

「いいっああ゛っ、これすごいッ、それぇ…それ、もっとーーっして、……い、ぁっ、ち、くび…だめっだめぇッーーちくび、っ、イク、いくッいっちゃ、っあ、あ゛ッ…っん゛、いくッーーー!!!」

たっぷり数秒間、こいつの息が止まり、俺のじゅるじゅるという音だけが部屋に響く。

「ーーーーーー、…………っ、ーーーーーッッ!」

やがて下半身にどくどくという脈動と、熱い迸りに俺の服が濡らされるのを感じる。

あっと言う間にまどろみに沈んでいくこいつの顔は、ようやく身体が満たされた幸福感ですっかり緩みきっていた。

静かな寝息を聞きながら、起こさないようにそっと身体を離し、そして考える。

こいつの乳首からたっぷりと舐めとった媚薬の効果が早速現れ始めている俺は、次にこいつが目覚めた時、さてどうしてやろうか。

Tシャツを濡らすこいつの精液が生温くなっていくのとは対照的に、俺自身が熱く固くなるのを感じて、胸が躍るのだった。
1/2

[*prev] | [next#]


page





×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -