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あれから数日経ち、いまやなにもかもが曖昧に霞みはじめている。
果たして、あの男娼街は実在していたのだろうか。
美しい少年、――月夜は、本当に私のこの手の中にあったのだろうか。

今になって考えてみると、私をいらだたせた素振りも、始めての経験に打ち震える表情も、すべて月夜の計算のうちだったのではとすら思う。
結局最初から最後まで、手のひらで転がされていたのは私だったのかもしれない。
だけど、それでもいいか、と思えるくらいに月夜に溺れていたのも事実だった。

ひとつはっきりと思い出せるのは、現実味のない三日月と、その光を反射する月夜の肌だけ。

すべて夢だったのだろうか。
それはもうわからない。

あの日から、私はあそこには立ち寄っていない。





(次:あとがき)
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