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月夜の中心では、子供らしい、肌色の生殖器が、先走りで濡れそぼってそそり立っている。その下では、オイルに濡れてひくひくと物欲しそうな菊門が私を誘っていた。

先ほどまで大人をおちょくるような言動を見せていたあの少年が、今は快感のためか、羞恥のためか、涙を流しながら顔を真っ赤にして後ろの穴まで自ら曝しているのだった。

こんな美しく、艶めかしい光景があったのか。しかも私はこれをどうにでもすることができるのだ。その悦びに身体が震える。だけどそれを気取られないように冷静に己の浴衣をはだけていく。

月夜の唾液でぬらぬらと濡れる自身を、欲しがる孔の入口に押し付ける。

「っ、くださ、い、…入れて、」
「―― そんなおねだりしか、習わなかったのか?」

栗色の髪を優しくなでながら、わざと意地悪を言うが、本当は私もここに突き入れたい衝動と戦っていた。だけど、まだだ。理性を必死に繋ぎとめていく。ここだけは、月夜に台本通りの台詞を強要する。

「っあ、あ、こうじ、さんの…おちんちん――僕の、 中に入れてっいっぱい、…っかき回してぇッ!」
「…いい、だろう――ッ!」

ぞくぞくと征服欲が脊髄を走りぬけるのと同時に、一気に奥深くまで突き刺した。月夜の顎がのけぞり、白い首をさらけ出す。

「っあ、は、あ――っ、こ、じさんの、奥まで、当っ て…っ!」
「……余計なことをいうなと言っただろう、」

月夜の体に染みついている、男を喜ばす台詞を一言も発せなくしてやりたくて、私は散々焦らしてとっておいた前立腺に標準を合わせる。腰を奥に押し付けたま ま、そこを、く、く、と押してやると、月夜が悲鳴に近い喘ぎ声をあげる。そうだ、それでいい。

「い やぁぁっッ! あ゛っんっ、は――んっあ、ああっ、ああッ! や、だ…ぁッッ!」

太ももに指を這わせると、びくん、と大げさに体が波打ち、反射的に足先までぴんと伸ばされる。意図せず差し出された、目の前の足先にむしゃぶりつきたい衝動に駆られて、私はそれに従う。

「ひゃぁぁ!! それ、だめ、おかしっく、なる――からぁ!、」

すでに客相手だということも忘れてバタバタと振り回される足をやすやすと捕まえて、指の間まで丹念に舌を這わせてやる。子供が指を吸うようにちゅぱちゅぱと音を立ててやる。月夜の屹立を舐めまわすかのようにじゅるじゅると吸いついてやる。

「あ あ゛っ! ああ゛っ! あ゛っ!! だめぇっ、 だめ――ッ!」

やがて 月夜が自らの根元を抑え込んでいることに気付いた。必死に射精に耐える健気さに気付かないふりをして、とくとくと先走りをこぼし続けるそこをわざとなでまわしてやる。

「どうしたの? なんでそんなところを押さえているのかな」
「―――ッッ、 そ、だ、触っ…――あっ!」

声にならない快感が月夜を襲っているのだろう、両手で根元を抑えていては私の手を止めることもできない。ただ顔を左右に振って、必死に私に訴えかける。

「ちゃんと言いなさい。どうして、押さえているんだ?」

耳たぶを食むと、月夜の目から新しく涙がこぼれる。なんとか言葉を紡ごうとするが、容赦なく先端を擦りたてられては叶わない。それでも私が言わせたがっているのを知って、精神力で言葉を紡いでいく。

「も、 いっちゃ――そうっだか、ら…ぁ!」
「イイよ、出してごらん」
「だめっだめ、なの――いっか、い…しかっ、 出せな、あ、!」
「――出せなくなっても私が搾り取ってあげるよ、」
「やっあ!だめ、なの! 身体、びくび、くしちゃう、から、ら、め、なの…!」

つまり、一度イくと敏感になり過ぎて却って苦痛になってしまう体質のようだった。それでよく男娼がつとまるなと思うが、だからこそ、執拗に前戯を求めたのだろう。おそらく、客を数回イかせて、それから最後の一回を相手していたのだ。

かわいそうだな、と思う前に、再び嗜虐心がふつふつとわきあがってくる。あいにく、こっちは酒が入っているせいで射精までにずいぶん余裕があった。「びくびくしちゃう」月夜が見たくて仕方がない。
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