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「―――っあ、 んっ、光司…さ」

もう数十分、私は月夜に愛撫を施している。これならば私が料金をもらいたいくらいだ。

それでも、月夜の首筋に口づ け、耳を食み、わき腹をくすぐり、胸の飾りをわざとかすめてみる。薄く浮き出す腹筋に舌を這わせ、太ももを唇でなぞり、ひざの裏さえも舐めまわす。

「もっ、だめ、光司さん――もう、ね?」

主 導権を取り戻そうと、顔で私の手をとり、性器に口を這わそうと身体を起こす月夜。その媚びるような顔に苛立ちを覚えて、私は小さな顎を掴んでそれを阻止す る。

「痛っ――!」
「余計なことはしなくていいし言うんじゃない。本当に感じたとき以外に声をあげるな」

わずかに恐怖に歪ませて顔を上下させるのを見て私は幸福感すら覚えている。美しい、すまし顔の高級男娼を少しずつ征服していく悦びに、私はますます味を占めていく。

まだ私は手も口も休めない。こわばった月夜の身体をほぐしてやるように、感じるところを探してい く。ある部分を舌でなぞると、月夜の身体が跳ねた。

「ん、ひゃぁッ」
「ここが弱いのかな、」
「あっそこ、やめ、っや!」
どうやら脇の下が月夜の弱点のようだった。剃っているのか、それともまだ生えていないのか、滑らかなそこに、ぬらぬらと唾液の後をつけていくと、それまでなすがままだった月夜の身体が暴れる。生理的にがまんならない感覚なのだろう、私の身体を離そうと必死になるが、上手く力も入らないようだった。

余裕をなくした月夜をもっといじめたくて、両手をまとめて頭上に固定する。無防備になったそこを思う存分堪能すると、いよいよ月夜が暴れ出した。しかし、客を蹴り飛ばすこともできないのだ。理性のはざまで必死に耐える姿にさらなる愉悦を感じる。

「やめてやめてっ、こうじ、さ…! そこは、ぁ!」
「――やっと素直に声をあげたね」

涙目で俺を見下ろす月夜と目が合う。もう作り笑いを返す余裕なんかなさそうだ。

「…そのまま啼いていなさい、」
「あっ ごめ、なさ、お願い――っ許し、てぇ!」

おそらく月夜は自分が何に対して謝っているのかよくわかっていないだろう。それでも切羽詰まった声は私の嗜虐心をぞくぞくと刺激していった。このまま何時間でもこうしていても良かったが、私の昂りもそろそろ限界だった。
両手を自由にして月夜を解放してやる。荒い息をついて脱力しているかと思ったら、けだるげな身体を起こして、私に奉仕する格好をとったので少し驚いた。あくまでも、男娼、なのだろう。

「ご奉仕、させてください――」

おそるおそるといった風の尋ね方に私は満足して許すことにした。ただし、尻をこちらに向けさせて二つ巴の体勢になる。

「ん、……っふ、ぅ」
「……っう、あ――っく」

さすがに経験を積んでいるだけあって、その舌技は極上だった。まるで生き物のように私のものに這いまわり、的確に弱点をついてくる。幸い、少々の酒を飲んだおかげですぐに射精に至る気配はなかった。

しばらく月夜の舌を堪能しながら、見られていることを意識しているのか、目の前でヒクヒクとうごめく菊門を視覚のみで楽しむ。
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