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ロビーの照明は、落ち着いているのに目がくらむような、不思議な錯覚を私に起こさせる。

少年は慣れた手つきで受付を済ませていた。どうやらここは私と同じような目的の客が利用するようだった。しかし、ラブホテル、と言うにはあまりにもあけっぴろげに少年を連れた人々とすれ違う。その少年もまた、白い布を身につけているのだ。

男娼街、という場所が彼らを開き直らさせるのだろうか。

しかし、時折、顔を隠すためか、わざわざ仮装パーティーにでも行けそうな不気味な仮面をかぶった客ともすれ違う。そのたびに、くらくらとするような照明と相まって、私は別の世界へ来てしまったんじゃないかと疑う。

あたりをきょろきょろ覗いな がら、とりとめのないことを考えていると、受け付けを終わらせた少年が私の手に鍵を握らせてきた。冷たい感覚に現実に引き戻される。上品な装飾の鍵を見ていよいよ財布の中身を心配し始めると、それを見透かしたかのように少年が私に囁いた。

「部屋代は僕のおごり。一番いい部屋取ってあげたから」

これが彼の手法なのだろうか。そんなことを考えていると、最上階へとつながるエレベーターが到着した。

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