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「っあ、あ、ぁ――っひ、っ、…っ」

自分の精液で腹をよごしながら、真は焦点の合わない目で小さな痙攣を繰り返す。イキっぱなしの身体はまだ快感を真の脳に伝え続けているのだろうか。

「派手にイったねえ。もう降ろしてあげてもいいんじゃないですか? 腕も疲れたでしょう」

俺の後ろから、真を抱える男たちに声がかかる。一度真を休ませないと、と俺が真の中から引き抜こうと身体を引いた時、

「ああ、いいんですよ」
「―――っひ!」

突然俺の腰が後ろから固定されて情けない声がでる。見ると、男が背もたれと俺の間に手を差し込み、俺の尻を掴んでそれ以上後ろに下がれないようにしていた。

思わず腰を浮かせた瞬間を見計らって、椅子を取り去ってしまう。一体何がしたいのか、訳も分からず硬直しているうちに、床に降ろされる真と一緒に身体を下げられ、挿入したまま床に膝を突かされてしまった。

「ま だ満足していないんでしょう? ここで好きなだけ真君を犯してください」
「そ、なっ――っざけんなよ! じじい!」

俺の暴言にかるく肩をすくめて、男は数歩下がる。真は仰向けの状態で、冷たいコンクリートに背中を晒しているけど、それすら感じないみたいな顔でほんやりと俺を見つめている。

真が壊れてしまう。抜かなきゃ。

俺はおそるおそる腰を引いた。

「っ あ! うご…ちゃ、だめ―――!」
「え――っぐ! あ、真、やめっ」

突然の刺激に真が我に返り再び身体を大きくふるわせ る。再び小さな絶頂が襲ったのか、真の中がうねうねと俺のを刺激した。

男の言うとおり、一度の射精じゃ全く萎えることを知らない俺の屹立は、その刺激でまたむらむらと欲望を俺に訴えかけてくる。

それでも抜かなきゃ、と腰を引くと、入り口を刺激された肛門が生理現象を始めて、壁をひくひくと蠕動させながら異物を排出しようとする。

「っあっあ…!」
「うっ、あ! 締め付け、んな」

俺を押し出す動きに逆らいたいという誘惑に耐えられなくなって、少しだけ先端を押し込めてみると、身体中鳥肌が立つような快感に襲われた。

「うっ、 く、これ…やば、」

真が俺を押し出す。

「う、」

俺が無理矢理こじあける。

「あっ、は、――っ」

抜かなきゃ、抜かなきゃ、と何度も自分に言い聞かせながら、いつしか、オナニーを覚えたての子供と変わらない行為を繰り返していた。

抜く振りをしながら、真の後孔の入口を、くちゅ、くちゅとなぶり回して、少しでも長く快感を得ようとする。

そんなことが誰にもばれてないなんてことはなく、俺は浅ましく自分の快感を求めて双子の兄を陵辱する姿をじっくりと観察されてしまっているのだ。

「あっ、はぁあ! やっ、も、実、それ、やだ! 入り口ばっか、しな…っ」

真の言葉には、と我に返る。けれどそのときにはもう遅くて、薬の抜けきらない身体が今よりもっと快感をほしがっていた。

だけどこれ以上は男たちの思惑通りに動くことになってしまう。動けないでいると、男の一人がおもむろに口を開いた。

「おやおや。これでは真君も実君も辛そうですね。恥ずかしがっているようなのでみなさんで手伝って差し上げてはいかがですか?」

一体何を、と思うまもなく、俺と真に無数の手が伸びてきた。そして媚薬で最大限まで神経をとがらせた二人の身体を撫で回し始める。

「あ、やめ、ひっ―――んっあ゛! あぁア゛!」
「ああ゛! もうっだ、め…だからぁ! 俺、あ゛、おれ、も―――!」

俺と真の肩を、腹を、脇を、 乳首を、太ももを、男たちの手のひらが撫で回す。

敏感になった神経が悲鳴を上げるけど逃げようと身をよじれば真に突き刺さったペニスが刺激される。かと言って動かないままに手のひらの愛撫に堪えられるわけがない。

俺は、訳の分からないまま、いつしか真にがむしゃらに腰をたたきつけていた。

「あああああ゛っ! やめて! 触んないでェ!!」
「っああ、あああ゛っ! とま、な―――っああ!」

俺と同じ顔が快感にゆがむ。だんだんと思考に靄がかかり、一体入れているのが俺なのか、入れられているのが俺なのかわからなくなっていく。

俺と真の境界線が曖昧になって、真の快感を俺が感じ、俺の快感を真が感じ始めている。

「ま ことっ――!」
「みの、る…っ」

互いが互いの名前を呼ぶ。
あれ、おれはどっちだっけ。

そんなことはどうでもよかった。

真と実、ふたりで、快感の沼に、ずぶずぶと沈んでいった。





(次:あとがき)
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