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「俺は答えましたよね? 彼氏はいませんが、以前は数人付き合った人もいましたよ。お金持ちの人、怒りっぽい人、身体だけの関係だった人もいました。でも、全員優しい人でした。男が好きなのは生まれつきです。気付いたらそうなってました。 ――ね、全部お答えしました」
「っ、そん―――」
「―― ああ。ひとつだけお答えしていませんでしたね。オナニーでしたっけ? しますよ。オカズが誰か、知りたいんですよね。教えてあげます。あなたですよ、エナ様、あなたです。俺はあなたのことを考えながら毎日オナニーするんです。どうですか、これで満足ですか?」
「………え、…は?」

唐突で歪な告白に、エナ様は抵抗も忘れて俺の顔を見る。俺はそんなエナ様を、作ったものでない笑みで、心の底からいつくしむように見つめる。エナ様が見ていない隙に、腹に添えた指をこっ そり上に伝わせていった。

「――エナ様、愛しています」
「な…―――っぁ!」

優しく囁くと同時に、胸の中心に到達した指でゆっくりと乳首を押しつぶすように刺激すると、小さな吐息をはきだしてびくり、と華奢な肩が竦められた。感じたことのない感覚に戸惑う表情で、俺の熱がさらに温度を上げていく。

「ミ、ヤ、ぁ…っ」
「エナ様は、どういうおつもりだったんで すか」

人差し指と親指でつまんで、くにくにとこねるとエナ様はびくびくと反応する。まだ、気持ちいいという認識には至らないかもしれないが、思った以上の感度の良さに俺はぞくぞくと興奮する。その昂りを隠して、指づかいも、口調も、あくまで優しく、丁寧にエナ様を追い詰めて いく。

「俺が同性愛者だと知っていらして、わざとらしく腕に触れて、ベッドに誘っ て、」
「や、……っ、あ、」
「根掘り葉掘り恋愛遍歴を聞いて、」
「…あっ、ご、め ――」
「挙句の果てに自慰をするかですっ て?」
「っぁっあ、ごめ、――な、」

徐々に漏れ出す謝罪の言葉は聞こえないふりをして、指は相変わらず動かしながらエナ様の罪を耳の奥に刻みこんでいく。

「ねえ、俺、勘違いしても構いませんよね。それだけ思わせぶりな行動をなさって、それに――こんなに感じていらっ しゃる」
「感、じ……っあぁ! そ、れ、やめ ――っ」

少し強めにつまんで、軽く引っ張ってやるとエナ様は身体を弓なりにして反応した。脳がその刺激を「快感」と認識し始めたのか、琥珀色の瞳がうるんで、肌は湯気が立ち上りそうに上気している。

「これが、いいんですか?」
「ちが、う、やっあっ…っあ!」

執拗に同じ動きを繰り返してやると、やがてエナ様の身体はまぎれもなく快感に酔った熱を帯び始めた。

乳首を引っ張って、痛みを感じる直前に離してやるたびに、エナ様の背が反って、かわいらしい口から、あ、と声が漏れる。たまに引っ張ったままこりこりと揉むようにしてやると、もどかしい快感に身をよじって逃げようとする。その仕草のどれもが俺を狂わせて、くらくらと酔わせていった。

「――っあ、も、やらぁ、そこ、や…――ぁっ」
「嫌、ですか? 困りましたね…こっちは、こんなになっているのに」
「…え、……っな、んで、こ――な、」

エナ様の視線をを促して、先走りが染み出て紺色のズボンの生地がそこだけ濃く染まっている様を見せつけてやる。すでに首をもたげているエナ様自身でそこが押し上げられて、目の前の光景はより艶かしいものになっている。
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