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「…っ、は」

ようやく射精を終えたユーインが引き抜くと、同時にニーウェが滑車を下ろす。もはや拘束をする役目を失った鎖がほどかれていく。

自身の身体を支えようとすらできず、騎士は石の床に崩れ落ちた。

それが合図かのように、二人の目から急速に、騎士への興味が失われていく。

「―――ころ、せ」

最後に残った理性か、彼の口がそう言葉を吐き出す。

しかしすでに部屋を出ようとしていた双子は、騎士を見ようともせず、そこに転がる自尊心を踏みにじる。

「兄さん、あんなこと言ってるけど。どうしよう?」
「知るか。放り出しておけ。―――間もなくあの国もこちらの手に落ちる」

遠ざかる2つの靴音が、石の部屋にこだまし、むしろ大きくなっていくようだった。それにかき消され、二人の声は、残響のように意味のない音となってしか、騎士の耳に届かない。

「また"奴隷"が、沢山手にはいる。―――しばらくは退屈しないかな?」
「………すぐに飽きる」

守ろうとした国の、人々の行く末も知らず、騎士は静かに目を閉じた。







「―――そうだね、兄さん」





残響は、そこで途絶えた。



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