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「俺は、感じてない……くす、りのせいでこうなっている、だけだ。さっきから、気持ち、悪いん、だよ。この下衆、野郎」
この状況でも、若さにそぐわず人を射竦める気迫がその目に宿る。これが戦場であったなら、見るものは恐れて道を開けただろう。
しかし、ニーウェは肩を竦めるだけで、自分の兄へと視線を向けた。
「あーこわ。だってさ、兄さん。どうする?」
かまわない様子のニーウェとは違い、同じ顔をした彼の表情はしかし、弟を侮辱されたことであからさまに気を悪くした様子だった。
「そうか。あくまでも感じてないというのだなあ。それなら、本当かどうか確かめてやるまでだ、なあ、ニーウェ」
兄の瞳に暗い炎が宿る。それと呼応するように、弟の空気も一変する。
そうだね、兄さん。と呟いて、騎士の幹を片手で握りなおした。もう片方の手は背中から胸に回して、指先が小さな粒を引っかけるように捕らえる。反対側の胸へは弟の顔がスルスルと降りていき、赤い舌がその中心に狙いを定めた。
「や、め―――。っは!ぁ゛!………く、んっ…んん゛!」
「ペニスと、乳首の三点責め、ベタだけどさあ、一番きもちいいでしょ? イキたかったら、いってもいいんだよー?」
弟の指が、手のひらが、舌が、それぞれの狙いへと絡みつくように動く。左の乳首を舐めながら、優しい声音で騎士に絶頂を促していく。
「こ、なっ―――イく、わけ………っ!!」
「そうだよなあ? 感じていないのだったな? ならば気をやることもないわけだ」
それまで焦らすような刺激しか与えられていなかった彼の身体には余りにも甘い感覚。
鬼の形相で目の前の人間を睨みつけても、食いしばった歯の間から時々息が漏れてはそのたびに表情が崩れる。
「ほらぁ、きもちいいの? いいよ、イっても。ね、」
「どうした。イキそうか? イく訳ないよなあ?」
ニーウェに耳朶を甘噛みされてとうとうギュッと目を閉じる。快感を振り払うように頭を振るが、追いつめるように双子のあべこべな責め句が纏わりついてくる。
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