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「ふぅん、なんでも、ねえ?」

男はそんな少年の体調を気にしたのか、それとも、なんでも、という言葉に反応したのか、次なる動きを見せる。そろそろ、とでも言うように黒服達に指示をする。すると、3人の男達がそれぞれホースを手にし、余っていた蛇口へと接続した。もちろん、ホースの先には男が持つのと同じシャワーヘッドが付いていて、そのさきから水が勢いよく流れだしていく。

その間少年はほったらかしのままだった。時間にして1分たらずだが、少年にしてみれば1秒1秒が永遠にも感じられる。ただ身体をよじり、ばたつかせ、悶えさせている。

「ぁあああ!かゆい、カユイ、痒いぃぃ!」
「なんでもするんだよね?」
「…します!しますしますします!」

もはや考えることもせずに、男の質問に脊髄反射のように頷く。もうこのあとで死んでも良い、ただ今この痒みを何とかしてもらいたい。その一心で。

「そ、じゃ、助けてあげる」

その言葉を合図に、黒服達がホースを手にしたままゆっくりと少年を取り囲むように歩いていく。ホースのさきからは熱いお湯が放射状に飛び散っている。もちろん、そこにはあの少年を苦しめ続ける薬が混入しているのだが、今の少年にとってはなによりの救いに見えた。

少年の顔は数日ぶりの餌を目の前にした犬のような、いやそれ以上だらしなく物欲しそうな表情が貼り付いていた。ホースの先から流れ出るお湯に釘付けで、これが今から彼に極上の快感を与えるのだ、そう考えただけで身体が勝手に総毛立っていく。と同時にわざととも思えるような黒服たちの緩慢さに、気が狂いそうだった。

「は… やくぅ!」
「はいはい、んじゃあ一回お湯止めてー」

別の黒服達が、4つの蛇口の前に立ち、水流を止めてしまう。

「…! なんで、」
「はい、じゃあ構えー」

男が冗談混じりで言うと、黒服たちは従順にそれに従う。そして少年はその光景に呼吸を詰まらせた。

4つのシャワーヘッドが、少年を狙っていた。黒服がもつシャワーはそれぞれ、彼の両乳首、そしてさきほどからジクジク疼き出している菊門へ。そして、男の持つシャワーは、彼のもっとも敏感で、立ち上がった屹立の、真っ赤に腫れ上がってふるふると震えている先端へ。

まるでシャワーヘッドが蛇のように少年をにらみつけている。これを、今同時にお湯をかけられたら。そう考えたとたん、それまで痒みに支配されていた少年の脳裏に恐怖がこみ上げてくる。

乳首だけ、亀頭だけでもあれだけの衝撃ともいえるような快感を伴ったのだ。それを、今一度にされたら―――。

そう考えている間にも、痒みは増し、ますます我慢できないものになっていく。早く、早くとねだる心と、これから与えられる快感への恐怖が入り混じり、少年はただ口をパクパクとさせる。

そして、カウントダウンが始まった

「じゅーう」
「…ぁ、ぁ、ぁ」

早くしてほしい

「きゅーう」
「やぁ、そ、な、」

やめてほしい

「はーち」
「ぁ……っは、」

気持ちよくなりたい

「なーな」
「っは、や、ぁ」

でも、怖い

「ろーく」
「っは…っはぁ、っ!」

どうなってしまうのか?

「ごーお」
「はぁっ、はぁっ、…はぁぁっ!」

ああ、あと半分

「よーん」
「っひ、ぁ、っぁ!」

怖い、怖い怖い怖い

「さーん」
「ぁあっ…あ゛っ、は、」

早く早く早く

「にーい」
「――――ぁ゛っ、ひ…ぃ!」

来ちゃう、来ちゃう来ちゃう来ちゃう

「いーち」
「……!!! っちょ、待ぁっ―――」

ぜろ。

「あ゛、――――っぁぁぁあ゛、あ゛、あ゛っはぁぁぁああ゛あ゛!!」

その瞬間、少年の視界は真っ赤に塗りつぶされた。
末端へと逃げようと神経を駆け抜ける快感同士が、あちこちでぶつかり合い、まるで渋滞でも起こしているかのように少年の身体を硬直させる。
少年は余りの快感に逃げ出したいのに、その快感故指の先一本も動かせない。

「ぁあぁああ゛っ! だ、めぇええ゛! こわれ、壊れひゃぁぁあ!」

それでもアルビノも黒服達も容赦なく敏感な場所めがけてお湯を当て続ける。少年がどれほど身をよじろうとも、シャワーの先はぴったりとその後を追って一瞬の安息も与えない。もっとも、シャワーを止めたところで痒みにさいなまれて安息などはないのだが。

やがて少年の股間に変化が起こる。ただでさえ歳不相応に膨れ上がり、硬くなっているそれが、ドクドクと脈打ち、先端からは透明な液をとろとろとこぼし始めたのだ。

その変化に気づいた男は、さも嬉しそうに舌なめずりをし、シャワーを少年に近づけ、水流の一番勢いのある根元で亀頭をいじめ始める。

「ん? 射精しちゃいそう? すごいねぇ、一擦りもしてないのにドピュドピュしちゃう?」
「ひぃぁぁあ!強い、つよ、ひ、ッからぁあぁ! だめぇ!だめ!出ちゃぁあ゛!!」
「ほらぁ、出しちゃえ」
「ああ゛! 出る、出る、出るでる! だめ、だめぇっだめぇぇえ゛―――ッッッ!!」

散々快感を与えられ、たっぷりと製造されていた精子が一気に解放される。あどけない体に似つかわしくない量の射精が、実に十数秒続いた。

「あ―――――ッッぁッ! ―――ぁあ゛ッ! ま、だ、出て―――っ!!」

ようやく吐き出し終わった後も、当然のようにシャワー責めは続けられる。
両乳首、菊門、そして亀頭へはあいかわらず水流の根元が当てられ続ける。たまらずに立て続けの絶頂を迎える。

「ん、ひっぃ゛ ――――っ!! あ、ぁ、―――っも、やだぁ!! イったぁ! もうイったからぁ!! 止めてぇぇぇえ゛!!!」

3度目、4度目の絶頂。それも終わらないうちに5度目を味わう。

地下室には、少年の悲痛な喘ぎ声と、無情なシャワーの音だけが響いている。



それから1時間後、少年はようやく意識を手放すことを許される。

泥沼に沈んでいく少年が、最後に聞いたのは、男の微かな笑い声と小さく一人ごちた言葉。

「さて、なんでも、してくれるんだったよね?」

言わなければ良かった、遅すぎる後悔をしながら、願わくばこのまま目が覚めませんようにと、誰にともなく願って、今度こそ少年は意識を手放した。





(次:あとがき)


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