十通目

拝啓 苗字名前様
 
 皆様お揃いで、おだやかな新春をお迎えのことと存じます。年賀状もありがとう。
 正月は禰豆子たちとみんな揃って初詣に行きました。名前は新年の準備で年末は忙しかったとのことですが、ゆっくり休めていますか?体調を崩していないか俺は心配です。
 数日前に、家の裏で怪我をしている一匹の野良猫を見つけました。お腹が空いていたのか、ご飯をあげると懐いてきて偶にフラフラと家へやって来ては縁側まで登っていき、よく日向ぼっこをしています。毛並みに沿って頭を撫でてやると気持ち良さそうにゴロゴロと喉を鳴らし頬を擦り寄せて近付いてくるのです。まだ小さい子供の三毛猫で、茶々丸に似いていて兪史郎さんのことを思い出しました。無限城での戦いで俺たち鬼殺隊をサポートしてくれたので名前も兪史郎さんのことを知っているだろうか。無惨が居なくなった今、もう会うことはないかもしれないけれど、元気にしているか心配です。以前に名前は猫が好きだと言っていましたね。俺は名前を付けるのは得意ではないから、名前がこっちに来てから、この子猫の名前はふたりで考えましょう。
 名前のご両親が俺に会いたいとのことで、伝言をありがとう。夏に名前のところへ行った時は結局ご両親へは挨拶出来ず仕舞いで、以前から俺の方も挨拶をしなければ、と思っていたので丁度良い機会です。来月は都合が付きそうなので、そちらへご挨拶に伺おうと考えています。俺たちのことを認めてくれているとは聞いていますが、実際に顔を合わせて会うのは初めてであり、今から緊張しています。それはもう、とても。ご両親へ何と挨拶をすれば良いか、善逸に相談したら「お嬢さんを僕に下さい」の一択だ、と言われたので、名前はものじゃないんだ、と却下しておきました。やはり、ここは誠実に夫婦になる承諾を得る方がいいですよね。上手くやれるだろうか。心配です。
 これから更に寒い日が続きますが、どうか風邪など召さないように暖かくしてお過ごしください。
敬具
竈門炭治郎

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