八通目

拝啓 苗字名前様

 小春日和のうららかな日々が続きますが、いかがお過ごしでしょうか。最近は、家の周りで赤とんぼの群れが飛んでいるのを見かけます。
 先日は禰豆子の祝言に出席してくれてありがとう。久しぶりに名前に会えて嬉しかったですが、当日俺はバタバタと準備ばかりで、なかなかゆっくりと話す機会もなく少し残念でした。それでも名前の元気そうな顔を見れて安心しました。
 祝言の席で、俺と親しげに話をしていた綺麗な女の人は誰なのか、って?あの人は雛鶴さんといって、元音柱であった宇髄さんの奥さんだよ。そういえば、名前は宇髄さんの奥さんたちにまだ会ったことがなかったですね。上弦の陸を倒した時にお世話になったのですが、あの人はお嫁さんが三人もいるのです。重婚は忍びの世界ではそう珍しくないそうです。前に俺が、君の実家の小料理屋さんの会ったことも見たこともない常連の人に嫉妬をしていたのを覚えていますか。あの時は、手紙であるので悟られないようにと努めていましたが、内心は気が気でなかったのです。なんだかこうして、名前が嫉妬してくれたのが俺は嬉しいです。当たり前だが俺は奥さんは一人でいいし、その奥さんは絶対に名前、君がいい。
 禰豆子が嫁いでしまって、善逸も居なくなってしまって家が寂しくなりました。伊之助は以前から山に篭って帰って来ない日が多かったのですが、最近は蝶屋敷にも足を運んでいるようで、あまり家には居ないのです。偶に帰ってきては医薬品の独特の匂いが伊之助から匂ってきます。祝言の席でカナヲたちに会った折に聞いたと思いますが、鬼殺隊の傷の手当てをしていた蝶屋敷は鬼殺隊が解体された今では、一般の人たちの怪我を見る診療所のような施設になっており、アオイさんを筆頭にきよちゃん、すみちゃん、なほちゃんが沢山の人の手当てをしているそうです。これも生前にしのぶさんが鬼殺隊士たちの為に充実した医療施設と技術を継承していたから故なのでしょう。医療費も良心的で、そこら辺にある医療施設よりも高度な治療を受けることが出来ると街でも、もっぱらの評判なのだそうです。みんな、それぞれの新たな道を歩み始めているようで、少し寂しさも覚えつつ、友人としてとても誇らしいです。
 朝晩は急に気温が下がり寒くなって参りましたので、風邪など引かないようにどうかご自愛下さい。
敬具
竈門炭治郎

追伸 禰豆子と善逸のふたりが夫婦の契りを交わすのを見て改めて思いましたが、家族になるということは素敵なことですね。

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