あとがき

完結しました。とても有難い事にこちらの連載は感想を貰うことも多く、移転前から読んでくださっている方もいらっしゃるようで、ここまでお付き合いいただきまして誠にありがとうございました。

この「恋しけば」は、出来る限り綺麗なお話を書くことを自分なりに意識していたので、それが少しでも伝わっていれば幸いです。書き始めた時から結末自体は決めていたのですが、途中から辛くなってきていっそ変えてしまおうか、と思ったこともあったのですが、結局は大幅考えていた結末に落ち着きました。代わりに「拝啓〜」の方で未来のある話を書けたので良かったかな、と思っております。サイト開設してからの初めての連載であり、個人的にもいつの間にか思い入れが強いお話となっていましたので、いざ完結してしまうと少し寂しい気持ちもありますが、ちゃんと終われてよかったなぁ、という気持ちの方が今は強いです。

炭治郎に関わった人たちは鬼も含めて彼自身が持つ優しさに触れて、本人は救っている気なんてさらさら無いのに、みんなどこか勝手に炭治郎に救われているんですよね。それでありがとうって言う。だけど炭治郎は決して神様や仏様じゃなくて、ひとりの人間の男の子なんだから、悲しい気持ちや、どうしようもなくやり切れない、そんな気持ちも人並みに感じるんだよ、だけど幸せでいてね、っていう思いを最終話に込めました。どんな世の中でも、どんな時代でも、優しい人に優しい世界であればいいのになぁと思います。

移転前にnoteの方で少しお話をさせていただいたことがありましたが、タイトルの「恋しけば」は万葉集に収められている山部赤人の俳句から引用しています。「恋しけば、形見にせむと、我がやどに、植ゑし藤波、今咲きにけり」という藤の花が題材になった歌だそうで、「恋しさのあまり、形見にしようと思って私の家に植えた藤が、今咲き揃いました」という意味だそうです。きっと炭治郎も庭に植えた小さな藤の木が花を咲かせているのを見て、恋しい人を思い出しているのでしょうね。

最後になりましたが、こうして二次創作であるサイトを開いて貴重な時間を割いて読んでくださっていること、且つ続きもののお話をこうして最後まで読んでくださっていること、本当にありがとうございます。

たやすみなさいより愛を込めて。


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