「む?……ああ、螢…おかえり。娘のお手伝いは出来たか?手洗いとうがいは?」
「た……っ、……ただいま戻りました…我が母……」
素早く靴を脱ぎ、家の中では浮遊自由な螢はふよふよと浮きながら家の居間を真っ直ぐに目指した。
その間、ご丁寧にもきちんと手洗いうがいをして、歩くことよりも早い浮遊で今現在、螢は居間にいる。
居間で螢が見たのは………赤の長髪、赤の長身の彼の膝にちょこんと座り、その胸板を背もたれがわりにして赤い彼と共にテレビを見ていた白髪の彼女。
白いソファーの上に座り、ゆったり時間を満喫中のふたりがそこにいた。
「ただいまですー………あ、赤のお兄さんお仕事終わったんですねー?」
「おーおかえりー……そうだよ、やっと終わったんだよ……あー……」
三日ぶりの居間だよ、と赤い彼は白髪の彼女のふわふわとした頭の腕に顎を置き、彼女の腹部に回している手の力をきゅーっと僅かばかり強くした。
それに螢の頬はぷーっ、と膨れるばかりであり、ふよりふよりと赤い彼にゆっくりと近づいて腕をぐいぃーと引っ張った。
飛べはするが速度はあまり早くない。しかし歩くよりも全然早いのが螢の浮遊。
おかげで家庭内交通事故は今のところはない。
「あーかーっ!!!何を!我が母をぎゅーっとしておるのだっ!!!」
「いやぁ、ねー?ばあちゃん抱っこするのが一番の癒やしなんだがなぁ…」
うん、知っている。と若草色の彼女はそれを見ながら台所に向かい、買ってきたものをエプロン姿な金色の彼に渡した。
「戦場に居たときからでしたもんねぇ……赤のお兄さんがおばあちゃん抱っこすると落ち着くのは」
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