お玉とエプロンがよく似合う金色の彼も若草色の彼女の後ろからひょこりとそれを覗き見て「あ、俺もほしいなあ…」と悪意なしの笑顔で同じように要求してくる。
白髪の彼女としては恥ずかしいばかりなのだが、………いじめなのか何なのか、正直このふたりの言動はいつも判断し辛い。
まるで保護者のような、微笑ましいものを見る顔でにこやかにプリントされたそれを見、頬に手を添えながら「……しかし…」と若草色の彼女は意外そうな声を出す。
「この落書き機能とか、ヘッドドレス被ったりとか……よくしましたねおばあちゃん」
「ああ……。……それはその付近にいた女子高生たちに色々教えてもらったのだ」
「『えっ?お母さんなの?本当にっ?』とか『おふたりともお可愛らしいんですからこれもつけませんか?』とか言われていたな……確かに我が母はお可愛らしいが」
「……螢…」
女子高生たちに言われた言葉をひとつひとつ思い出しながら口にし、そしてそれら言葉に頷く我が子に白髪の彼女は落ち込まざるを得なかった。
いつになったら年相応の見かけになれるのやら……。
落書き機能とやらで描かれたそれに何か引っかかるものを覚えた白髪の彼女だった。
「……あ。画像貰ったらお兄さんにも送るから安心してね?」
「…………ありがとうよ」
ソファー付近で赤い彼と金色の彼がこんな会話をしていたのを知っているのは、若草色の彼女だけだった。
―了―
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