見ればハロウィン仕様にも出来るらしいではないか。機械の横にささやかながらもハロウィンに纏うような装飾品の貸し出し物が置いてあった。

あの紫色のシルクハットのヘッドドレスは可愛らしいと思う。

「螢。あのシルクハットをつけてこのプリント倶楽部とやらでお写真を撮ってはくれないだろうか?」

「……我、ひとりでですか…?」

「だって携帯に送れるならば」

螢ひとりの方が絵になる、と言い掛けたところで螢は小さく素早くふるふるふる、と首を横に振った。

それから抱っこしているのにも関わらず、更にぺたりとくっついてきて、きゅうっと抱きつく。小さな手に力が篭もっているのがよくわかった。伝わった。

しゅん……と眉を下げて心から寂しそうな声を絞り出しながら、

「…我が母とが良いのです…」

我が母とじゃないと嫌です……といやいやをしながらおねだりのような母親としては最高級の口説き文句を言われてしまった。

これにきゅーん、と来ない親がどこにいるのだろうか。そこらの小説やドラマの台詞なんかよりも心揺らす力を有している。間違いなく。

う………と小さくうめいて、しかしまだ「いや、でも……」的な気持ちは若干残る。待ち受けにするなら自分の姿は正直邪魔以外の何者でもない。

………なのだ、が。

「……駄目ですか…?」

ぅー……とぐりぐり頭をすり寄せられた後、涙目で見上げられてしまってはもう断る理由など見あたらず、白髪の彼女は頷くしかなかった。





。°。°。°。°。°。°。°。°。



「へぇー……可愛く撮れてるじゃないですか」

後で私にも画像くださいね、と木々のように笑って若草色の彼女はプリントされた親子のそれを見た。





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