04

『あいつはS・スクアーロ、ヴァリアーだ』

エス・スクアーロ、サド・スクアーロ…ちがう、なんだっけ。えぇっと、ス、ビ…


「スペルビー!!」


自分の大声で目が覚めた。あぁ思い出した。スペルビって読むんだった。

あのあと、スクアーロさんにハンカチを渡そうと試みていた私だったが、ツナを助けに来たらしいディーノさんに「女の子はこんな戦闘見るもんじゃないぜ」とかなんとか甘いマスクで言いくるめられて、ハルとイーピンとランボを送って、京子と共に帰ってきた。帰ると了平は何にも知らずに米を貪り食っていた。こんの極限バカ弟め!

朝から疲れた顔で降りていくと京子が爽やかな笑顔で朝食を用意してくれた。


「どうした姉貴!極限に元気がないぞー!」

「あんたが元気ありすぎんのよ。」

「お姉ちゃん紅茶でいい?」

「うん、ありがと京子。」

「お兄ちゃん、師匠さんのとこ行くの何時だっけ?」

「師匠?」

「おう!パオパオ老師が鍛え直してくれるというのでな。学校の前に中山病院に寄って行く!」


パオパオ老師…?あぁ、リボーンのことか。あんな簡単な変装どうして誰も気づかないのかしら。それになんで今更鍛え直すなんて…はっ!い、嫌な予感がする!


「了平、それ私も一緒に行く!」


制服に着替えて、了平と二人、京子より一足早く家を出る。向かうは中山病院。どうやら昨日の少年が入院しているらしい。


「了平、昨日のこと知ってるの?」

「あぁ、山本とタコヘッドがやられたと聞いたぞ。大変だったな姉貴。」

「え、誰に聞いたの?」

「近所のかわいい妻子持ちのおっさん、と名乗ってな。他にもリングやヴァリアーの話も聞いたのだが…すっかり忘れた!」

「ふざけんな!このバカ弟!鶏か!」


まぁ了平に難しい話は無理ね。知ってた知ってた。それよりリングって?了平に先を促すとポケットからリングを取り出した。


「なにこれ、模様が途中で終わってる?」

「うぅん…極限にわからん!」

「忘れただけだろ!っておいー!!」


急に走り出したし!私はインドア派だっつーに!前を走る了平は中山病院のドアを勢いよく開け、何やら叫んでいる。おいお前病院だって忘れてるだろ!ゼェハァ言いながら病院に入ると山本と隼人、ツナもいた。それからディーノさんとコロネロくん、パオパオ老師に扮したリボーンも。


「お姉さんも来たの!?」

「あんたにお姉さんて呼ばれる筋合いはない!」

「機嫌悪いー!?」

「はぁ、はぁ…私にも、詳しく 教えてっ。」


そこからは黙って説明を聞いていた。別に息がきれてしゃべれなかったとかではない。断じてない。

リングは十代目ボンゴレボスとそれを守護する者の証。ツナは次期ボス候補で山本、隼人、了平は次期守護者ということ。そしてそれを狙うもう一組の次期ボスと守護者候補。彼等はずいぶんな荒くれ集団で、このリングを無理矢理奪うつもりらしい。それをツナたちが阻止するために迎え撃つ。彼等はヴァリアー。つまりスクアーロさんは私たちの敵ということらしい。

…了平が忘れるのも無理ないかもしれない。私も忘れたいもん。だってスクアーロさんとかと戦うんでしょ?あの人容赦なく斬り付けてたし、今やられた少年目の前にいるし…了平にそんな命懸けの勝負させられない!


「こいつそんな弱いのか?コラ!」

「あぁ選ばれたファミリーの中じゃ最弱の部類だぞ。」

「ぷくく、俺の特訓についてこれたら他の6人なんてぶち抜くぜコラ!」

「っておいー!!何了平戦わせるの決定してんのー!?」

「当たり前だろ、こいつは選ばれたんだぜコラ!」

「で、でも…」

「やらせてくれ姉貴!俺はもっと強くなりたい!」

「了平…」

「それになまえにも手伝ってもらうからな。」

「は、えぇえ!?聞いてないよ!」

「そのかわり厳しいぜ。やるか?コラ。」

「望むところだ!俺は負けん!!」

「よしついてこいコラ!!」

「おう!!」

「ちょ、待っ おぃいい!!」


私の言うことなんか聞いちゃいねぇ。まっすぐすぎるのよ了平は。そこが良いとこなんだけどね。これはもう応援してあげなきゃかなー。男の子は少しやんちゃなくらいがいいよね、きっと。


「で、私は何を手伝えばいいんで?」

「女子供の中でこれを知ってるのはなまえだけだ。ヴァリアーと繋がりがあるのもな。」

「ディーノさん、繋がりって言っても…ハンカチを拾っただけですよ。」

「それだけで充分なんだ。」

「?」



無言の圧力



「せ、宣誓ー京子たちには、このことは言いません。」

「ハハッ物分かりのいいやつは好きだぜ。」

「俺もだぞ。」

「(こいつら…!)」











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