25
「召集?」
「あぁ、守護者全員だ。」
「私も行く。」
「おう、当然だ!」
了平と二人家を出て十字路で山本と隼人とバジルくんと合流した。異様な光が放たれ、並中の方向に走る。煙の中から現れたのは敵の親玉のザンザスさんだった。ツナ側の守護者、ヴァリアー側の守護者が揃い、大空戦開始の準備ができた。
「…スクアーロさんは、いないの?」
「雨戦の顛末はご存知のはずです。スクアーロの生存は否定されました。」
「…っ、」
「おい女。」
「へ!? あ、はい(ザンザスさんに呼ばれた)!?」
「カス鮫を信じてんのか。」
ザンザスさんみたいなすごい眼力の強い人に見つめられたのは初めてでかなりびびったけど、どうしてか彼の目はひどく悲しそうで懇願するようなものだった。
「はい。」
「…ぶは、なかなかいい目をしやがる。俺がもらってやろうか?」
「あは、ザンザスさんは三番目の男ですけど。それでもいいなら。」
「ふざけんな、カスが。尻軽め。」
「なっ…なんですかその言い方!スクアーロさんがいなくて寂しいからって私に暴言吐かなくてもいいじゃないですか!」
「寂しくねぇ!てめぇみたいな女に三人も男が出来るか!」
「でーきーたーの!ね、隼人!」
「ち、ちがっ…俺は…!」
「おいおい四人なのなー。」
「貴様!姉貴を愚弄するとは許さんぞ!」
「ツナ!あんなやつやっつけちゃいなさい!」
「え!?うん、やっつけちゃうけど…あの…」
「お前ら落ち着け。開戦できねーだろ。」
「よし!ほら円陣!」
私の隣には隼人と了平、了平の横にバジルくん、山本、ツナと並ぶ。
「お守り、ちゃんと持った?」
「おう!もちろんだぜ!」
「仕方ねぇーからな。」
「極限大切にしている!」
「うん、ありがとうなまえさん。」
「じゃあ、みんな死なないでね。待ってる。」
「沢田ーファイッ」
「「オー!!」」
ぴょん、とリボーンが私の肩に飛び乗る。そうするやいなやツナに向かって銃をぶっ放す。えぇー…!いきなり…!
「なんだ、そんなに早く始めてぇのか?」
「ザンザス、お前は俺が倒す。」
「はっ、無理だな。」
「守護者はリストバンドを装着し次第、各守護者戦が行われたフィールドに移動して下さい。」
「ぬ?フィールドだ「質問は受け付けません。従わなければ失格となります。」
ザンザスさんとツナが既に臨戦体勢のため、守護者たちはすぐに各フィールドに移動した。骨拾いにきたシャマルさんと野次とばしにきたコロネロと私たちは観覧席に移動。あとから黒曜中の子とバジルくんも来た。画面には各フィールド上の守護者たちが映される。途端、守護者たちがうめき声をあげ地べたに倒れる。
「!? 隼人、了平…!」
「どういうことだ!?コラ!」
「ただ今守護者全員にリストバンドに内蔵されていた毒が注入されました。」
「「!!」」
「デスヒーターと呼ばれる毒で立つことすら困難にします。そして30分で絶命します。」
「ちょっと、どういうことよ!なんで毒なんか…」
「どういうことだ、大空戦なのにどうしてみんながこんな目に!」
「大空であるボスの使命だからです。守護者の命がボスの手に委ねられる戦い、それが大空戦なのです。」
解毒方法はリストバンドに同種類のリングを差し込むこと。このルールにより、守護者のリングも重要になった。既にハイパーモードになったツナは守護者を救出する前にザンザスを倒そうと交戦を始めた。画面には苦しむ了平たちの姿が。
「くそう、あの女…!うちのかわいい弟たちに!」
何も出来ない自分が悔しい。
「シャマルさんは、今日、あの子たちが怪我したら手当するために来てくれたんですよね。」
「あ?なに言ってんのなまえちゃん。俺はあいつらの骨拾いに来たんだよ。そもそも俺は男は看ねぇんだ。」
「嘘。嘘、つかないで下さい。」
「…、まぁ一応な。」
「私も、お手伝いが出来たらいいのに…」
「…いらねーよ。あいつらが怪我しなきゃな。」
シャマルさんは優しい人だ。私はこんなにも無力なのに「それでいい」と言ってくれる。私より年下のあの子たちがあんなにも苦しんでいるのに。
体育館にザンザスさんの一撃が響いた。銃で嵐と雷のポールが倒れ、守護者二人が野放しになる。ツナだけでなく私も焦っていた。肩にのるリボーンはどこか余裕気だったが。
「君、天才なんだって?」
「雲雀、くん…!」
「ヒバリの奴自分で倒して解毒したな。」
「なっ、何者なの、あいつ…」
「ツナのファミリーだぞなまえ。」
にっと笑うリボーン。そしてランボの危機を救った隼人で画面がいっぱいになる。雲雀くん、隼人を助けるなんてナイス!
「大空戦で余計な雑音はたてさせねぇ。なまえがうるせーからな、はやく芝生も助けてやらなきゃなんねーからよ。」
「隼人…!やばいお姉ちゃん泣きそう。」
「おいおい、泣くのはまだ早いんじゃねぇか?」
「ディーノさん!?」
「よぉなまえ。」
「…え、」
振り向くとそこには私が一番会いたかった人がいました。