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笹川家の不安

「ただいまー。」

「おかえりお姉ちゃん、遅かったね。」

「ん、隼人が頑張ってるとこ見てたらこんな時間だった。」

「ふふ、本当に獄寺くんと仲良しだね。」

「妬いちゃう?」

「ちょっと。」


かーわいーい、お風呂上がりのいい匂いのする京子を抱きしめてほお擦りする。京子はやめてよーなんて言ってるが、嫌がる様子はない。しかし笑う顔が一瞬陰る。


「どうした?」


聞くと、みんなが何も話してくれないのが悲しいらしい。傷は増えてくのに私は何にも出来ないの。そう言う京子は優しさに溢れている。不謹慎だけど、かわいいよねやっぱり。


「いいじゃんべつに。理由を話さないのはきっとあんたの為だよ。」

「お姉ちゃんは知ってるの?」

「…しーらないっ!」

「…そっか!」

「うん!」


にっこり笑った京子は何かふっ切れたような顔だった。それを影から覗いていた了平を私はばっちり見てしまったため、京子が部屋に戻ったあと了平の部屋を訪ねた。


「姉貴…」

「なによ。」

「京子は可愛いな。」

「当たり前でしょ、私の妹よ。」

「俺の妹だ!」

「うるさい!京子が起きちゃうでしょ!」

髪を乾かす為に自分の部屋から持ってきたドライヤーで了平の頭を叩く。了平は頭を押さえながらうぬぅ…とかなんとか唸っていた。


「京子は俺が守らなきゃいかんのだ。」

「…(私は守んなくていいのかよ)」

「約束したからな。」

「じゃあ守ればいいじゃない。」

「不安なのだ、本当に守れるのか。」

「…守れるよ。」

「極限に本当か?」

「だって、了平は私の弟だもん。」


了平は面食らったように一瞬目を大きく開いて、ちょっと考えて、そうか、そうだな!と納得したようだった。極限ー!とかなんとか叫びだしたからまたうるさいとドライヤーで叩いてやった。しかし今度は効き目が無くて、ランニングに行くとか意味のわからないことを言い出して、本当に走りに行きやがった。意味わかんねぇ。我が弟ながら理解不能。でもそこがかわいい所なんです。


お姉ちゃんの役目

たまにはちゃんと果たさないとね。













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