#ミクリ 1






「あー、酷い雨」

[みぃもびしょびしょ……!]

イッシュ地方での旅を続けているヤヅキ達だったが、森の中でヤヅキだけはぐれてしまった
おまけに雨に振られ、服が水を吸って重い

とりあえず見つけた洞穴で雨宿りをする
火を起こした時、誰かが洞穴に入ってきた

「……先客が居たようだね」

「……火起こしたんで、あたります?」

後から入ってきた男性はミクリと名乗った
整った顔立ちをしている
アイドルでもやってるのか、と言うような

上着を脱いで乾かしながら自己紹介をする
一緒に旅をしている仲間とはぐれてしまい、彷徨って居た所に雨が降ってきた、という事も話す
だって、黙ってるとなんか気不味い

「なんだかわたしと似ているね
ダイゴっていう親友が居てね
珍しい石を集める事が趣味なんだが…この森に入って出てこないから探しに入ったらこの有り様さ」

「へぇ……
でもこの森って石なんか採れるんでしょうか?」

「さぁねぇ
わたしにもわからない」

石といえば、この前変なの拾ったな…
詳しいのかな、ダイゴさんって
会えたら見せてみようかな

「ふ、ぁ…へっくし!」

「おや、寒いかい?
私ので良ければ、使っておくれ」

そう言って着ていた白いマントを脱ぎ出すミクリさん
だ、大丈夫なのに

「大丈夫ですよ
ちょっと冷えただけで…」

「女の子が体を冷やすのはあまり良くないからね
ほら」

わざわざ立ってマントをかけてくれた
…すごいなこれ、なんかあったけぇぞ

「……すみません、」

「ふふ、構わないさ」

いつの間にか寝てしまっているシェイミを抱えて撫でる
こいつはすぐねるんだから

…シェイミのせいでこっちまで眠くなってきたよ
でも今はダメ、起きるんだ自分

あー、昨日夜ふかししたせいかな

「なんだか眠そうだね
寝ても良いんだよ
雨が止んだら起こしてあげるよ」

「……いや、大丈夫です、耐えます」

流石に迷惑すぎる
ただでさえマント借りてるってのにこれ以上今日ここで知り合った人に迷惑かけてどうする

「君はどこから来たんだい?」

ミクリさんからの突然の質問に一気に目が覚める
出身を聞かれているのか?これは…

「え、えっと………………カノコタウン、です」

「あぁ、研究所のある所ね」

「そうです
田舎ですけど、静かで良い所なんです」

正直、出身とかわかったもんじゃない
だって、自分が居るべき場所はここではないのだから
誤魔化せてる、か?これ





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