#7



「間違いない、この橋はスカイアローブリッジだ」

ずっと黙りこんでいたデントがいった。
スカイアローブリッジ?これが?

よくよく見てみると、確かに似ている...どころか、同じだ。

「よく気づいたよな、デント」

「そうかい?」

「ああ...で、ついでに離して
ホント恥ずかしい」

「はいはい、船が止まったらね」

「...シェイミはどっか行っちゃうし
動けないし」

それから少し経って、船は船着き場に着いて停止した。
ぞろぞろと降りていく乗客に混じって自分たちも船を降りた。

だが、景色に違和感を覚えた
さっき船に乗り込んだ場所と全く同じだ。
向こう岸へ行くための船のはずなのに。

「戻ってきちゃったの?
向こう岸へ行くって言ってたのに」

「どうなってんだ?」

この現象で、デントは思い当たることがあったらしく、何か閃いた顔をして見せた。

「此処は閉じた世界なのかもしれない」

「閉じた世界?はじめて聞いたぞ」

「ミィミ」
[どういうこと?]

どうやらシェイミも知らないらしい。
デントに説明を求めた。

「あの水上バスに何度乗っても、また此処に戻ってきてしまうという事」

無限ループって奴じゃね?それ。



「とりあえず、ゴチルゼルの事を探って見ようか」

「そうだな」

3人がそんな事を話している中、デントにやっと解放され、動き回れる様になったヤヅキはシェイミで遊んでいた。

「もっしゃー」

[...ミーで遊ばないで]

「元はと言えばお前のせいでもあるんだからな」

「...ミィ」

「そりゃっ」

「ミッ」

前足を持ち上げて後ろに倒してみたり、緑のモシャモシャを掻き回したりしていたらアイリスに引っ張られた

「ほら、遊んでないでいくわよ」

「はいはい、
シェイミ、いこっか」

「ミィ」

まずは少し仲良くなろうという作戦らしい。

挨拶から始め、軽く自己紹介をした。
女の子はサリィというらしい。

ゴチルゼルとはとても仲が良いみたいだ。

「お父さんの水上バスの手伝いか...偉いな」

「うん、パパが船長だから手伝ってるの!」

「水上バスが無くなると聞いてね、僕たちも一度、乗ってみたいと思っていたんだ」

「あー、最近そういうお客さん多いんだ!
ね、ゴチルゼル!」

「ゼルゼル!」


さらにサリィと話をしていくと、野生だったポケモンがだんだん手伝ってくれるようになったと話してくれた。

良いコンビだもんね!と抱き合う2人はとても楽しそうだった。




「別に、変わった所は無かったなぁ…」

「うん、普通の女の子とポケモン、よね」

サトシとアイリスの目線の先にいる2人は笑顔を浮かべて、とても楽しそうだ
……さっきのゴチルゼルとは全く印象が違う

もしかして、別のゴチルゼル?
いや、無いか………

色々考えてみるが、知識不足でどうにもならない

「此処は、ゴチルゼルが創った世界なのかも」

「……ゴチルゼルが創った、世界?」

「あーやっぱり?
空間を捻じ曲げるだのどうだのって図鑑でも言ってたし……
でも世界創っちゃうの?」

「出来ても可笑しくは無いよ
……で、僕達はそこに迷い込んでしまったんだよ」

そう考えれば、ジュンサーさんのスワンナが霧払いを失敗したのも説明がつくわけだ

橋が出来て、水上バスが無くなってしまったからサリィとゴチルゼルは此処を離れた可能性が高く、ゴチルゼルがそこに思い出の世界を創った

デントはそう仮説を立てた

(流石デントだな)

この場にデントが居てよかった
彼が居なければここがどういう場所なのかも分からず困り果てて居ただろう





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