#6



「! 危ねぇ!!」
「うわっ、何!?」
「サイケ光線だ!」

視界が悪い中、なんとか橋を渡っていた一行を、サイケ光線が襲った。

「上に何かいる」

そのことに気づいたヤヅキが上を見上げる。
黒い何かがいる。
・・・ポケモン?

「あれは・・・ゴチルゼル!?」
「ゴチルゼル?」

図鑑の説明によると、エスパータイプの中でも結構強いポケモンらしい。

「俺たちはこの橋を渡りたいだけだ!」
[・・・だめ]

サトシがそう言って分かって貰おうとしても、首を横に振るだけだった。

「どうして駄目なんだ?」
[・・・]

ゴチルゼルは答えない。
それにしびれを切らしたサトシがモンスターボールに手をかけた。

「それならなんとしてでもわたってやる!
ツタージャ、君に決めた!!」
「タージャ!!」

サトシはツタージャを出すと、すぐにリーフブレードの指示を出した。
だが、ゴチルゼルの守るに弾かれ、再びサイケ光線を撃ってきた

「リーフストーム!!」

2つの技がぶつかり合い、そこから光が生じた。
あれ、この光、普通の物じゃない、何か違う・・・。

その光に包まれた次の瞬間、彼らを浮遊感が襲った。

「え、」

ちょ、何で足場無いの?


まばゆい光に包まれ、何が起こったのかわからない。

「・・・どこだここ」

気づけば見慣れない場所。
他の3人も呆然と立っていた。
何が起こったのか、全くわからない。

地面を見ると青々とした草が茂っている。

「あれは・・・」

サトシが声をあげる。
その声に釣られてサトシが見ている方向を見てみると、建設途中と思われる橋があった。

「なぁ、あの橋どっかで見たこと無い?」

「・・・僕もそんな気がするんだけど、」

状況が全くつかめず困り果てていた自分らに声を掛ける少女がいた。

「お客さんですかー?」

「・・・へ、」

そんな少女の背後には、一艘の船があった。




何かわかるかもしれないと乗り込んだ船。
どうやらこれは水上バスらしい。

「ありがとうございます!
ゴチルゼルー!!
この人たちもお客さんみたいだから、案内してー!」

「ルゼルー」

「・・・あ、(ゴチルゼル? さっきのゴチルゼル、かな・・・)」

だが、先ほどのゴチルゼルとは表情が全く違う。
にこやかな顔で嬉しそうに、楽しそうにしている。

攻撃してくる気配は無い。


「さっきのゴチルゼル・・・?」

「でもちょっと様子が違うよ」

「どうする?」

「行くしかないだろ」

行くしかない。
確かにその通りだ。

この水上バスに乗ることで何か分かることがあるかもしれない。

「・・・どうなってるんだろう」

「ミィ・・・?」

「2人とも、そんな心配しなくてもきっと大丈夫だよ」

「・・・そだな。
ありがとデント。」

(!! あの2人・・・むふふ)

わからないことだらけだが、一つわかるとすれば、これにはゴチルゼルが絡んでいると言うことである。
サトシの図鑑でも、サイコパワーで空間を捻じ曲げ、異空間を作り出すーみたいなこと言ってたし。

多分それだろ。
いやもう確定だろ。

・・・今はどっちかって言うと、ニヤニヤしてるアイリスが一番気になるかな。
どうしたのさ。
割とよくある事だから気にしないようにしてるけども。

「アイリス、ちょっと君顔が」

「あ、ヤヅキは気にしなくて良いのよ。
ヤヅキはデントと仲良くしてればいいの。」

「は、はぁ」

余計解らなくなってしまった。
なんなんだ?

「ミィ...」

「ちょ、シェイミお前落ちるぞ」

水を覗き込んでいるシェイミ。
一緒になって覗き込むとバランスを崩してしまった

「ミッ!?」

「ッ!?」

「! 危ないよ!」

シェイミと一緒に落ちかけた自分たちをデントが引っ張って引き戻してくれた。

危ねぇッ!

「た、助かった」

「...ったく、何やってんの。
もう動いちゃ駄目」

「え、折角だし色々見たかったんだけど」

「危ないでしょ?」

「...デント、近い。恥ずかしい。ちょっと離れて」

「離したらまた危ないことするでしょ?
だからきっちり押さえとかないと」

アイリスがすごくニヤニヤしてたのをヤヅキ達は知らない





[*prev] [next#]

6/9




戻る
×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -