#3
目の前で、バトルが繰り広げられている。
それを隅っこで眺めるヤヅキとシェイミ。
バトルをやっているのはアイリスとサトシの2人だ。
「ズルッグ、頭突き!!」
「キバゴ、引っ掻くよ!!」
この前もバトルをやったと思うが、本当に同じレベルだな。
お互いに取っていい練習相手になっていると思う。
「キバゴ、龍の怒り!!」
「うげ、離れよ」
アイリスの指示を聞き取ったヤヅキは、荷物が入った鞄片手に走り出した。
キバゴの龍の怒りは大体爆発して周りにいるものが巻き込まれるのだ。
とりあえず、巻き込まれたくない。
その直後、予想した通りの展開になり、逃げてよかったと一息ついた。
そう思った刹那、デントの呼ぶ声が聞こえてきた。
「皆ー!ランチができたよー!」
ああ、逃げちゃったから距離ができちゃった・・・。
「行くか」
「ミィ」
逃げ出した分をのんびり歩いて戻れば、アイリスが地面にぽっかり空いた穴を覗き込んでいた。
どうしたんだろう、と思いながらものんびりと近づいた。
決して急ごうとはしない。
・・・は!?何あの水色のアヒル。
クロッシュかぶってる・・・。
いつしかのチラーミィを思い出す姿をしたアヒルはそのままスタスタと去っていってしまった。
それにデントが叫ぶ。
デジャヴ・・・。
デントが慌てて追いかけると、アヒルが技を繰り出してきた。
「あちッ!?」
「ヤヅキ!?」
かろうじて交わすことができたが、頬にヒリヒリとした感覚があるのに気づき、思わず舌打ちした。
「あのアヒル野郎・・・やってくれるじゃねぇか。あ?」
気づいたらアイリスがいなくなっていた。
そういやサトシは・・・?さっきからずっと見てないけど。
まあいいか。
とりあえずデント、何があったのか教えてくれ。
事情を聞き、空から2人を探してと頼まれたヤヅキはフライゴンを出して飛び去っていくのだった。
「っと、サトシはあのへんだな。
アイリスがまだどこにいるかわからねぇ・・・。」
サトシはさっき池があるところらへんで見かけた。
とりあえずアイリスとデントを探して合流させようと思う。
[いたよ、アイリスとデントだ!]
「お、んじゃそっちに行ってくれ。」
2人に声をかけるとすぐ気づいてくれた。
「サトシたちは見つかったかい?」
「あぁ、あっちでアヒルと揉めてる。案内するから、来て」
「・・・って
待って待って、ヤヅキ、ほっぺどうしたんだい?」
「あー・・・さっきアヒルの技がかすった」
「・・・後で手当するからね」
やべえ、今のデント何か少し怖かった。
アイリスは何かニヤけてる。
今ニヤけるところあったか。
自分がドジだからか。
おっとこんなことしてる場合じゃねぇ。
「フライゴン、もっかい頼む」
[了解!]
「シェイミは落とされんなよ?」
[大丈夫!・・・多分]
「いや多分ってやめてよ不安」
ピカチュウが技を出しているところをちょうど見つけた。
しかもその技は新しいもので。
「「エレキボール だよ/だな」」
「・・・ハモった」
「あはは・・・」
自分のロトムとバチュルが覚えていることもあり、馴染みがある技。
ピカチュウは覚えてなかったと思うけど・・・新しく覚えたのかな。
サトシ達3人が話しているのを放っておき、いつしか見たポケモンへと歩み寄った。
「お前・・・」
「グロッコ!グゥウ、ロ!」
「大事なもんがアヒルに取られたのか。大変だな・・・。手伝ってやんよ、取り返すの」
こちらに向かってきたアヒルに気づいたサトシ。
「アイツラまた!」
「コアルヒー、三体もいたのか」
「よくも熱湯を浴びせてくれたわね!!許さないんだから・・・!!」
え、アイリスそれ大丈夫かよ・・・!?
全身やけどじゃね!?
ヤバくね!?
そんな事を考えていると、3体が同時に技を繰り出してきた。
「あ、そうだ。」
今のうちに盗まれたもん取り返しに行こう。
人質みたく使われたりでもしたら面倒だし、あとから探す手間も省けるしね。
3人には囮になってもうことにした。
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